2011 年 53 巻 1 号 p. 45-47
大型放射光施設SPring-8において,特定の内殻準位の吸収エネルギーに合わせた軟X線を物質に照射した際に放出される電子のエネルギーと運動量を調べる「共鳴角度分解光電子分光」実験を行い,従来の手法ではできなかった特定の電子軌道の選択的観察をすることで,重い電子がフェルミ面を実際に作っていることを直接観測することに成功した。今後,共鳴角度分解光電子分光法を用いて,重い電子がどのようなフェルミ面を作る時に超伝導や磁性が発現するかを系統的に明らかにしていくことにより,重い電子を持つ金属で見られる磁性と共存する超伝導の機構解明の進展が期待される。