2012 年 54 巻 10 号 p. 647-652
全国原子力発電所所在市町村協議会(以下「全原協」という)は,原子力発電所の立地および立地予定の24市町村と,隣接6市町村の計30市町村で構成され,立地に伴う諸問題の解決のために一丸となって取り組んでいる。福島第一原子力発電所で発生した原子力災害では会員市町が被災し,想定外の「行政機能移転」や自治体の区域を超える「広域避難」というこれまでにない過酷な状況に追い込まれた。全原協では,市町村自らがこの災害を検証し,安全・防災対策をはじめとした原子力行政に反映させることを目的に,ワーキンググループを設置して調査を行い,平成24年3月に報告書として取りまとめた。本稿では,調査の概要と調査から見えてきた課題に対する取り組みの方向性について報告する。