日本原子力学会誌ATOMOΣ
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解説
シビアアクシデント時に溶融した燃料の形態と特性
TMI-2炉心から採取したデブリに対する試験の結果から
永瀬 文久
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2012 年 54 巻 11 号 p. 727-731

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抄録

 福島第一原子力発電所では,原子炉炉心の冷却ができなくなり炉心温度が上昇し,燃料が溶融するシビアアクシデントに至った。事故の進展を解析して溶融した燃料の状態や分布を推定するため,また取出し作業に役立てるためには,溶融し他の炉心材料と混合した燃料の特性に関する知見が必要である。1979年に起こったスリーマイル島2号炉(TMI-2)事故後に炉心から取り出された溶融燃料(デブリ)に対し様々な調査・分析が行われた。日本原子力研究開発機構も1988~1993年に行われたOECD/NEAのTMI圧力容器調査計画(VIP)に参加し,入手した約60個のTMI-2デブリに対して様々な試験を行った。本稿においては,その結果を中心にデブリの形態と特性について解説する。

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© 2012 一般社団法人 日本原子力学会
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