2012 年 54 巻 3 号 p. 160-165
東京電力㈱福島第一原子力発電所事故により大気中に放出され地表面に沈着した放射性セシウムの影響を調査するために,東日本における広域航空機放射線モニタリング(以下,航空機モニタリング)が実施された。航空機モニタリングは,市街地から山林まで広範囲にわたって迅速にガンマ線を測定することにより,空間線量率や放射性セシウムの沈着量分布を“面”的に把握できる利点があり,視覚的にも分かりやすい。今回の航空機モニタリングにより,東日本の各地域における空間線量率や放射性セシウムの沈着量の分布とともに,これまでに詳細な測定結果がなかった東日本における天然核種の空間線量率分布についても把握することができた。東日本での広域航空機モニタリングの結果の概要と今後の課題について解説する。