エネルギー・環境戦略に関する「国民的議論」において,世界初の試みとなった政府主催の「討論型世論調査」。これらの結果に接した人々,特に筆者が出会う原子力分野の人々に少なくない感想は,「あれは『特殊な』人達の声で,サイレントマジョリティの考え方は違う」というものである。本当に討論型世論調査で示された国民の声は「特殊な」人々の声なのだろうか。その結果はどう読み解かれるべきだったのか。このような観点から,2012年夏のエネルギー・環境戦略に関する国民的議論を振り返り,今後のエネルギー政策の具現化に向けて,改めて原子力専門家が問われる役割について解説する。