東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故後,放射線被ばくによる健康影響について実にさまざまな情報が錯綜し,福島県民は不安と風評の中で暮らしてきた。不安の正体は,先の見通しがつかないこと,何を信用すればいいのかわからないことの2つにつきる。その原因の多くは放射線の誤った情報を信じてしまったこと,正しい情報を正しく理解できないことにあると考える。福島の子どもたちの健やかな成育のためには,私たち大人が放射線について正しい情報をきちんと理解することが不可欠であり,不安や風評に負けない毅然とした心で自信を持って,この地で子育てする強さが必要である。これまでの保護者の方々とのかかわりの中で,放射線に対する誤解や不安がいまだに消えないことを感じている。その解消にはどのような工夫が大切かをまとめてみた。