日本原子力学会誌ATOMOΣ
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解説
2015年NPT運用検討会議における核不拡散と原子力平和利用をめぐる議論
「グランド・バーゲン」の再確認と「南北」の対立
秋山 信将
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2016 年 58 巻 2 号 p. 96-101

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抄録

 2015年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議は,中東非大量破壊兵器地帯をめぐるアメリカと中東の対立から最終文書の採択に失敗したこと,核の非人道性をめぐる議論の盛り上がりの中で核軍縮に関する議論が盛り上がったことがハイライトであると評価される。他方,福島原発事故後初めてのNPT再検討会議であったが,平和利用については大きな注意が払われたわけではないが,それでも,核軍縮,核不拡散,平和利用というNPTの三本柱の間の「グランド・バーゲン」という構造の重要性が改めて認識され,また,非発電分野における平和利用が,途上国など必ずしも原子力の大規模利用をしていない国々のNPTへの関与を維持するという点で意義があることが示された。今後,開発分野との関係,途上国と先進国の間の平等性という点でも原子力平和利用の重要性は高まるであろう。

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© 2016 一般社団法人 日本原子力学会
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