日本原子力学会誌ATOMOΣ
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解説シリーズ
転機を迎えるエネルギー市場
(その4)原油価格の変動とその構造的要因
小宮山 涼一
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2016 年 58 巻 6 号 p. 350-355

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抄録

 原油価格はこれまで大きく変動しており,世界経済や国際エネルギー市場に大きな影響を与えてきた。原油価格の変動をもたらす構造的要因として,石油の需給バランス(需給のひっ迫と緩和),地政学的要因の作用や石油先物市場への投機資金流入等が挙げられる。今後の原油価格を展望すると,既存油田の自然減退分を補完して現行の生産水準を長期的に維持する場合,より高コストな石油生産が徐々に大きな役割を担うため,価格は徐々に上昇すると見られている。また長期的に,世界の石油供給における中東依存度が高まり,中東の地政学的リスクが原油価格に与える影響が増加すると考えられる。

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