2018 年 60 巻 5 号 p. 275-278
地球温暖化に関連して近年取り組まれている研究課題について紹介する。現在,気候研究を支える気候モデル開発に加えて歴史的観測データの整備が求められ,過去と将来の気候変動をそれぞれ再現・予測する技術開発が行われている。これらの技術を有効活用することで気候変動メカニズムや気候予測可能性の理解を深め,数年から100年先の長期の気候予測精度を向上することができる。本稿では,データレスキューや気候再解析により過去150年間の気候変動を再現する試みを紹介する。これにより過去の気候変動を理解し,気候予測のスキルを高めながら,温暖化研究の進展とともに具現化してきた気候学的課題に取り組む。