日本原子力学会誌ATOMOΣ
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Print ISSN : 1882-2606
サイエンスよみもの
短時間&高エネルギー分解能計測装置の小型化を目指して
多画素超伝導検出器のための多重読出回路
神代 暁
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2018 年 60 巻 7 号 p. 398-402

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抄録

 材料の蛍光X線分析や放射性物質の遠隔・非破壊・短時間分析に適したエネルギー分散分光装置に備えられた半導体検出器を,桁違いに優れたエネルギー分解能を持つ超伝導検出器で置き換えると,元素・同位体に対する識別能力の飛躍が期待される反面,小受光面積・小計数率に起因する計測時間増大が懸念される。多画素化による懸念克服は,超伝導検出器が備えられた極低温下と信号処理装置のある室温との間の配線数を増やし,これが,極低温への流入熱増大と分光器の体積・消費電力・価格を支配する極低温冷凍機の過負荷をもたらす。このジレンマ緩和のため,極低温下で,1本の読出線上に複数画素の出力を束ねる超伝導多重読出回路が研究されている。本稿では,多重読出回路に関する世界潮流を概説し,産総研の研究を紹介する。

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© 2018 一般社団法人 日本原子力学会
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