2019 年 61 巻 10 号 p. 734-738
臨界管理や原子炉の運転等において,体系の中性子実効増倍率は最も基本的な概念の一つである。実効増倍率が1のときを臨界,1未満のときを未臨界と呼ぶことは良く知られているが,実は両者は大きく異なる状態である。本連載講座では,核燃料サイクル施設の臨界安全,原子炉施設の臨界管理や福島第一原子力発電所のデブリ取り出し等で重要となる未臨界状態について,臨界状態の原子炉との違い,炉物理的な特徴,未臨界状態であることを評価・測定する手法などを解説する。第1回では,臨界・未臨界の炉物理的な違いについて紹介する。