2021 年 63 巻 2 号 p. 174-176
放射線健康リスク評価の基本プロセスについては,これまで主に分子レベルの品質管理と位置付けられる「DNA損傷の修復機構」,および細胞レベルの品質管理といえる「アポトーシス(自爆死)による潜在的ながん細胞の除去機構」に焦点があてられてきた。しかし,ICRP Publication 131(以降「Publ.131」と記載)では,別稿(連載Ⅱ)で既述の,組織レベルの品質管理といえる「幹細胞競合」に焦点をあてることによって,①放射線リスクの蓄積性,②放射線発がんに対する線量率効果,および③放射線感受性の年齢依存性,が起きる理由を論理的に説明できる可能性を示唆した。