陽電子消滅法による原子力材料中の照射欠陥の観察

抄録

　陽電子消滅法は，電子の反粒子である陽電子をプローブとする手法である。原子力材料への適用では，照射欠陥，欠陥－溶質原子複合体，ある種の析出物などを敏感に検出して観察することができる。本解説記事では，実験手法(陽電子寿命測定，同時計数ドップラー広がり測定)の概略を示し，原子炉圧力容器鋼モデル合金を例として，原子力材料中の照射欠陥などを観察した結果を紹介する。