2024 年 66 巻 5 号 p. 259-263
176Luは約400億年の半減期で176Hfにβ崩壊する放射性同位体である。そのため,176Luと176Hfの量から太陽系形成前に発生した超新星爆発や,地球や月の地殻の形成などの年代を測定するために用いることができる。しかし,これまで20グループ以上によって176Luの半減期が計測されたが,誤差の範囲を大きく超えて一致していない。この問題を解決するために,窓なし4π立体角型の検出器で半減期を計測した。この手法では,従来の測定法における誤差の要因を回避しており,最も真の値に近い。また,精度も最も高い。今後,176Luを用いた太陽系や各種天体の歴史の解明が進むと期待される。