日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
特集1
再発甲状腺分化癌の治療戦略
川真田 明子岡本 高宏
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2012 年 29 巻 4 号 p. 263-267

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抄録

甲状腺分化癌の再発形式として最も多いリンパ節転移に対してはその摘出あるいは系統的郭清を行うが,触知できない小さな転移リンパ節を的確に摘出することは必ずしも容易でない。一方で進行再発例では外科治療が困難となる。これらの場合における当科の戦略を報告する。触知の難しい転移リンパ節に対しては色素を使ったマーキングを行っている。超音波ガイド下に穿刺を行ってピオクタニンを注入し,これを目安に目標のリンパ節へ達して摘出する。本法により転移リンパ節を確実に摘出でき,取り残しの懸念がない。また剝離操作が最少限となり合併症の危険を回避できる。一方,手術野の解剖学的把握が難しくなる場合がある。手術適応外と判断した転移リンパ節に対しては放射線外照射治療を行い,腫瘍縮小効果や血中サイログロブリン値の低下あるいは症状緩和の効果を得ている例がある。

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