抄録
原発性副甲状腺機能亢進症のほとんどは単発性の腺腫で発症するが,わずかながら多腺病変も存在する。さらに術前画像診断による責任病巣の部位診断率も向上しているが,限界もある。これらを背景に手術成績をより確実にするものとして術中迅速PTH測定が導入され有効性も認められている。また,甲状腺全摘術後における低カルシウム血症の発症予測に周術期にPTH測定を用いることで入院期間の短縮が図られ患者のQOL向上にも貢献している。さらに永続的副甲状腺機能低下症の予防においても有用性が示唆されている。術中迅速PTH測定は海外では盛んに議論されているが,日本では導入している施設が少なく,議論されることも少ない。その有用性,問題点を紹介し,当院での取り組みも紹介する。