抄録
2013年に甲状腺結節取扱い診療ガイドラインが発刊された。ここではこれまですべて鑑別困難と報告していた濾胞性腫瘍疑いの例を,細胞所見よりfavor benign,borderline,favor malignantの3群に亜分類し,ある程度臨床医のニーズに応えることとした。この3群の分類は元々伊藤病院で行っているものであり,ガイドラインへの収載に際しては病理委員4名で検証を行い,有効性を確認した。一方で2007年に欧米でベセスダ方式という,やはり甲状腺細胞診の診断様式が発表されている。わが国のガイドラインと類似しているが,定義や臨床的取扱いなど課題もみられる。各施設ではどの様式を使っても,その判定に対する臨床的取扱いについては病理医と臨床医できちんと取り決めをしておくことが重要である。