日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集2
悪性褐色細胞腫へのCVD治療
田辺 晶代
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2014 年 32 巻 1 号 p. 34-38

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抄録

悪性褐色細胞腫/傍神経節細胞腫は臨床経過が長期にわたる症例が多い。確立した治療法がなく根治例はごく稀である。治療目標はカテコラミン(CA)過剰症状のコントロール,progression-free survival(PFS)の延長である。CVD治療はcyclophosphamide,vincristine,dacarbadine併用による化学療法である。本治療の短期効果は腫瘍容積に対する完全あるいは部分奏効(CR/PR)が約50~80%,CA値に対するCR/PRが約50~80%と報告されている。効果持続は1~2年とされ,生存率の改善に寄与する証拠は得られていない。主な副作用は発熱,血管痛,消化器症状,骨髄抑制,肝機能障害であるが,多くは軽度から中等度である。CVD治療は悪性PPGLを“根治させる”治療であるとは言えない。しかし一部の症例ではPFS延長に有効であること,本邦では131I-MIBG治療が困難であることから,多くの施設ではCVD治療が抗腫瘍治療の第一選択となりうる。

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