日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集1
分子標的薬の治療標的と作用メカニズム
樋口 智子三好 康雄
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2015 年 32 巻 2 号 p. 74-79

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抄録

乳癌の分子標的薬は,PI3K/AKT/mTOR経路,HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型),血管新生因子などを標的に開発されている。ER(エストロゲン受容体)陽性乳癌の内分泌療法耐性機序にmTORの活性化が関与しており,すでにmTOR阻害薬のeverolimusは臨床の場で用いられている。また,PIK3CAには高頻度で遺伝子変異が生じており,PI3K阻害薬も開発段階にある。mTORとPI3Kでは阻害効果に差が認められることから,どの分子が治療標的か,バイオマーカーの同定は重要である。抗HER2抗体医薬のtrastuzumabに対する耐性機序にはリガンド依存的なHER2-HER3シグナルの活性化が関与しており,HER3との結合部位を認識する抗体医薬のpertuzumabはこのシグナルを阻害する。また,trastuzumabに抗癌剤を結合したtrastuzumab emtansine(T-DM1)は,細胞膜のHER2と伴にインターナリゼーションによって取り込まれ,リソソームで分解されることで遊離したemtansineが抗腫瘍効果を発揮する。このようにeverolimusやpertuzumabは活性化シグナルの阻害で治療効果を得るのに対し,T-DM1は細胞内への取り込みと分解効率が効果に影響すると推測される。

はじめに

分子標的薬とは特定の分子を標的として開発された薬剤であり,標的分子の機能を抑制することで治療効果を得るものである。癌に対する分子標的薬では癌の増殖や進展に必須の分子が標的となり,今後の治療の中心となるものと期待されている。通常分子標的薬ではその機能を抑制することで癌細胞には致命的な影響を及ぼすものの,正常細胞には影響が少ないことが条件となる。癌で特異的に活性化している分子や,正常細胞に存在する2つの経路のうち,癌では1つの経路しか機能していないもの(合成致死)を対象に開発されてきた。従って,癌細胞に対して高い効果と低い有害事象が期待されるものの,実際には正常細胞も影響を受けるため,その薬剤特有の有害事象が発生する。

分子標的薬には低分子化合物である低分子医薬と,モノクローナル抗体からなる抗体医薬,さらに抗体と薬剤を結合させた抗体薬物複合体が存在する。低分子医薬は分子量300~500であり,チロシンキナーゼ阻害薬,マルチキナーゼ阻害薬,CDK阻害薬,プロテアソーム阻害薬などが含まれ,いずれも標的分子の活性を阻害する。抗体医薬は分子量50~70万の蛋白であり,可変領域のうち相補性決定領域は,マウス由来でその他はヒト由来のヒト化抗体と,完全なヒト型のヒト抗体が含まれる。抗体医薬は細胞内には浸透しないため,細胞膜表面の受容体(細胞外領域)や血液中の蛋白を認識して結合する。そして,膜受容体に対する抗体は標的蛋白と結合することでその機能を阻害するばかりでなく,抗体を介してADCC活性(抗体依存的細胞傷害)やCDC活性(補体依存性細胞傷害)も誘導することで抗腫瘍効果を発揮する。このように低分子医薬は活性阻害によって治療効果をもたらすのに対し,抗体医薬ではさらに抗体に依存した細胞傷害による治療効果も期待される。

本稿ではER(エストロゲン受容体)陽性乳癌とHER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)陽性乳癌にフォーカスし,最も開発が進められている分子標的薬に関して,その作用メカニズムを中心に解説する。

1 乳癌のサブタイプと活性化シグナル

乳癌における治療標的は,活性化しているシグナル伝達経路や変異遺伝子によって翻訳される蛋白,あるいは遺伝子の変異や欠失によって生じる機能喪失を利用した合成致死である。網羅的な遺伝子発現解析の結果,乳癌はluminal A,luminal B,HER2-enriched,basal-likeの4つのサブタイプに分類される[]。そして,luminal乳癌では通常ERが陽性で,HER2-enriched乳癌ではHER2遺伝子の増幅が認められることから,両シグナル経路の活性化は乳癌のバイオロジーを規定する重要な因子と考えられる。そして,エストロゲンシグナルを阻害する内分泌療法と,HER2に対する抗HER2療法は,乳癌治療の根幹をなしている。

一方,次世代シークエンサーを駆使して網羅的に乳癌の体細胞変異を解析した結果,PIK3CA(phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate 3-kinase,catalytic subunit alpha)(36%),TP53(37%),GATA3(11%)遺伝子に高頻度で変異が生じていた[]。その他の遺伝子(MAP3K1,MAP2K4,MLL3,CDH1,PTEN,PIK3R1,AKT1など)に認められた変異は,いずれも10%以下であった。ER陽性乳癌ではエストロゲンシグナルの制御に関与する因子の遺伝子(GATA3,FOXA1,RUNX1など)に変異が認められるものの,その頻度は高くない。PI3K(phosphatidylinositol 3-kinase)/AKT(protein kinase B)/mTOR(mammalian target of rapamycin)経路は,細胞増殖,細胞死の抑制,遊走や血管新生など多岐にわたる作用に関与している。そして,PIK3CAをはじめこの経路に関与するPTEN,PIK3R1,AKT1遺伝子に変異が生じており(表1)(図1),この経路の変異は乳癌において極めて重要な働きをしていることを示している。TP53遺伝子はアポトーシスの誘導や,細胞周期の停止に関与する癌抑制遺伝子であり,高頻度で機能を喪失する遺伝子変異が認められている。さらにMDM2はp53の活性の抑制や分解に関与し,乳癌において遺伝子増幅が生じている[]。サイクリンD1は,サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6と結合することでRbをリン酸化し,その結果E2Fによる転写が活性化して細胞周期はG1期からS期へ移行する(図1)。この経路に関しては,CCND1(cyclin D1)の遺伝子増幅が生じており[],癌で細胞周期が促進されている。

表1.

サブタイプ別の主な遺伝子変異の頻度([]より抜粋)

図1.

乳癌で変異の認められる遺伝子とシグナル伝達経路のシェーマ

(#:開発中の薬剤の治療標的)

このように乳癌においてはPI3K/AKT/mTORシグナル経路,MAPK/JNKシグナル経路,TP53/MDM2経路,CDK4/6-Rb経路に関与する遺伝子に体細胞変異が生じている。これらの遺伝子変異は細胞死や細胞周期を制御している経路に属しており,変異によって細胞死の抑制や細胞周期を促進する結果として,癌の増殖や進展に関与しているものと推測される。興味ある点として遺伝子変異の生じている頻度は乳癌のサブタイプによって異なり,PIK3CA遺伝子変異はbasal-likeタイプで少なく,TP53遺伝子変異はluminalタイプにおいて低頻度であり,遺伝子変異とサブタイプには相関が認められる(表1)。また,TP53とPIK3CAの遺伝子変異は別々の乳癌に生じており,それぞれの変異が乳癌の発生メカニズムに与える影響を考える上で重要な所見である。このように乳癌ではエストロゲンやHER2などのサブタイプを規定するシグナルの活性化と,遺伝子変異の両方によってバイオロジーが規定されているものと推測される。

2 ER陽性/HER2陰性乳癌における分子標的薬

1)PI3K/AKT/mTOR経路に対する分子標的薬

ER陽性乳癌ではエストロゲンシグナルに加え,PI3K/AKT/mTOR経路が極めて重要な働きをしている。Luminal B乳癌ではluminal A乳癌に比べてこの経路が活性化しており[,],また,内分泌療法の耐性機序にも関与している。培養細胞(MCF-7)を長期間エストロゲンを枯渇させた状態で培養すると(LTED)エストロゲンがない状態でも増殖可能となり,この時にはAKTの活性化が生じている[]。さらにアロマターゼ阻害薬のレトロゾールによる術前内分泌療法では,レトロゾール耐性の腫瘍においてPI3K,AKT,mTORのmRNAの発現が亢進し,活性化の指標であるリン酸化AKT(pAKT)とリン酸化mTOR(pmTOR)の発現も高くなっていることから[],PI3K/AKT/mTOR経路の活性化が耐性に関与していると考えられる。従って,この経路の阻害は有力な治療戦略となり,mTORC1阻害薬のeverolimusはすでに我が国においても市販されている。現在PI3K阻害薬(Pan-PI3K阻害薬,PI3Kα阻害薬,PI3K/mTOR阻害薬),AKT阻害薬,mTOR阻害薬(mTORC1阻害薬,mTORC1/2阻害薬)の有効性を検証する臨床試験が行われている(図1)。

この経路の分子標的薬は原則として内分泌療法と併用され,いずれの分子標的薬に関してもPI3K/AKT/mTOR経路を阻害する目的で開発されているものの,どの分子の機能を阻害するかによって,その効果は異なることが予想される。mTORの活性化は下流分子のp70S6K1(p70-S6キナーゼ1)を介してERのセリン167をリン酸化し,ERのエストロゲン非依存的な転写を誘導する結果として内分泌療法耐性となる[]。そして,mTOR阻害薬を併用することで内分泌療法の感受性は回復することが示されている[]。しかし,mTOR阻害薬はERのリン酸化を抑制するだけではなく,蛋白の合成,細胞増殖,オートファジーの抑制,血管新生など,mTORそのものの機能を抑制することも治療効果に関与している。興味あることに,培養細胞を用いた検討ではmTOR阻害薬(RAD001)ではアポトーシスは誘導されないが,PI3K阻害薬(BKM120)を用いるとアポトーシスが誘導される[]。さらに,内分泌療法耐性の移植モデルにおいて,SERD(selective estrogen receptor downregulator)であるfulvestrant,PI3K阻害薬(BKM120)をそれぞれ単剤で用いた場合には増殖は抑制されるものの縮小はしていない。しかし,両者を併用することで著明な腫瘍の縮小効果が得られている[]。この時,fulvestrantでは増殖マーカーのKi67は低下するものの,アポトーシスの指標であるcleaved caspase-3/7の発現は誘導されなかった。一方,PI3K阻害薬ではKi67の低下は認められなかったが,cleaved caspase-3/7の発現は有意に亢進した。この結果は,エストロゲンシグナルが細胞増殖を,PI3Kの活性化がAKTを介してアポトーシスの抑制を制御していることを示しており,両方のシグナルを阻害することで顕著な腫瘍縮小効果が得られたと考えられる。この報告ではエストロゲンシグナルとPI3Kシグナルは別々の機能に関与しているが,両者にはクロストークが存在し,症例ごとにその程度は異なっているものと推測される。

このように,PI3K/AKT/mTOR経路においても,分子の活性化の程度はそれぞれ異なっている可能性があり,分子標的薬の効果に影響すると予想される。Loiらの報告では術前療法において,mTORC1が活性化している群ではアロマターゼ阻害薬のletrozoleにmTOR阻害薬(everolimus)を併用するとよりKi67が低下したが,mTORC1の活性化がない群ではeverolimusの併用効果は認められなかった[]。このようにmTORの活性化は,everolimusのバイオマーカーとなる可能性がある。一方,PIK3CAの遺伝子変異が存在しても,必ずしもmTORの活性化は生じていないことが示されている[10]。培養細胞における検討では,PI3K阻害薬のIC50(50%阻害濃度)はPIK3CA遺伝子変異を有する細胞株で低いことが示されており[11],PIK3CA遺伝子変異はPI3K阻害薬の効果を予測するバイオマーカーとなるかもしれない。さらに,PIK3CA遺伝子変異ではAKTの活性化が示されており[10],PIK3R1やAKT1の遺伝子変異によってもAKTの活性化が生じると予想さる。現在PIK3CA遺伝子変異を有するER陽性乳癌を対象に,AKT阻害薬(MK-2206)の臨床試験が行われている(National Cancer Institute ClinicalTrialsgov. Identifier NCT01776008)。

2)その他の経路に対する分子標的薬

最近注目されているのが,CDK4/6阻害薬である。Cyclin D1の遺伝子増幅はluminal B乳癌の58%,luminal A乳癌の29%に生じていることから[],CDK4/6阻害薬による治療効果が期待されている。そして,CDK4/6阻害薬のpalbociclibとletrozoleの併用は有意に無増悪生存期間を延長したことから[12],すでにFDAで承認されている。このように活性化した分子,あるいは変異の生じている分子が治療標的として有用と考えられるものの,この点に関しては臨床検体においての検証が必要であり,治療効果を予測するバイオマーカーの同定は今後の重要な課題である。

3 HER2陽性乳癌における分子標的薬

1)HER2に対する抗体医薬

このサブタイプの治療標的として最も重要なのは,HER2である。HER2は他のHERファミリー受容体(HER1,HER3,HER4)と違って,リガンドが存在しない。抗HER2薬としては,HER2のドメインⅣを認識するヒト化抗体のtrastuzumabと,HER2の細胞内チロシンキナーゼ活性を可逆的に阻害する低分子化合物のlapatinibが用いられてきた。HER2はHER2との二量体(ホモダイマー)を形成するだけでなく,ドメインⅡを介して主としてHER3と二量体(ヘテロダイマー)を形成することが可能である。そして,HER3のリガンド依存的なHER2-HER3ヘテロダイマーの形成はtrastuzumabに対して耐性となるものの,ドメインⅡに対するヒト化抗体のpertuzumabによってこのシグナルは阻害される[13]。すでにtrastuzumabとpertuzumabの併用は,臨床の場で用いられている。

2)T-DM1(trastuzumab emtansine)の作用機序と効果予測

DM1(メイタンシン誘導体)は,タキサンより百倍強い抗腫瘍効果を発揮する非常に毒性の強い微小管重合阻害剤である。このDM1をMCCリンカー(maleimidomethylcyclohexane-1-carboxylate)でtrastuzumabに結合させたのが,T-DM1(trastuzumab emtansine:kadcyla)である。T-DM1はHER2に結合すると,インターナリゼーションによって細胞質に取り込まれ,リソソームによって加水分解を受けることで,DM1(Lys-emtansine)が放出される。そして,遊離したDM1が微小管の重合を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。このようにDM1はtrastuzumabと結合している状態では作用せず,癌細胞内で遊離することが必要である。興味あることに,培養細胞での検討では同濃度のフリーのDM1を投与した場合より,T-DM1を投与した方が増殖抑制効果は強いことが報告されている[14]。この結果は,DM1をtrastuzumabに結合させることで,より効率的に細胞内に取り込まれていることを示している。従って,T-DM1の効果に関しては,最終的にどの程度のDM1が細胞内で遊離するか,という点にかかわっていると考えられる。

T-DM1はHER2に結合して初めて細胞内に取り込まれることから,HER2陰性乳癌では全く効果は得られない[15]。また,T-DM1が投与された症例を対象にHER2の発現を検討した結果,HER2 mRNAが中央値より高い群は,低い群より無増悪生存期間は良好であった[16]。このように,HER2の発現量はT-DM1の効果に影響すると考えられる。Gebhartらはtrastuzumabをzirconiumで標識してPET(HER2-PET)を行うことで,HER2の発現をイメージングした結果を報告している[17]。この報告では治療開始前にZr-Trastuzumab PETを行い,T-DM1を3サイクル投与してRECISTでの効果判定とHER2イメージングの相関を検討した。その結果,HER2-PET陽性36例中27例(75%)が奏効したのに対し,HER2-PET陰性の17例では2例(12%)しか奏効していない。このようにHER2の発現量は,T-DM1の効果に強く影響し,HER2のイメージングは,T-DM1の効果予測に有効かもしれない。一方,HER2-PET陽性の9例(25%)では,HER2が発現しているにもかかわらず奏効していない。

Austinらは,trastuzumabを標識して培養細胞(BT474)でHER2の発現を検討している。その報告によると,細胞膜に存在するHER2がいったん取り込まれ,その後30分で85%は再び細胞膜に出現(リサイクリング)することを明らかにした[18]。このようにリサイクリングが高率に起こると,T-DM1はそのままHER2に結合した状態で細胞外に排出される可能性が考えられる。仮に細胞質内に取り込まれても,リソソームによる分解を受けないとT-DM1は遊離しないため,治療効果は劣る可能性がある。リソソームによる分解にはTNF-α,lysosomal vacuolar H+-ATPase,Bax inhibitor-1が影響すると言われており[19],癌細胞ごとに分解効率は異なっているのかもしれない。さらに,DM1は他の抗癌剤と同様に,多剤耐性蛋白(MDR1:multidrug resistance protein 1)によって細胞外に排出されることから[20],MDR1が高発現していると,細胞内のDM1の低下によって効果が劣る可能性も考えられる。

3)その他の分子標的薬

HER2陽性乳癌にもER陽性が含まれ,また他のサブタイプと同様PIK3CA,TP53はじめ多くの遺伝子に変異を認めていることから(表1),エストロゲンシグナルやPI3K/AKT/mTOR経路の阻害薬も,ER陽性・HER2陰性乳癌と同様に効果が期待される。HER2陽性の転移・再発乳癌を対象として,docetaxel+trastuzumabとpertuzumabあるいはplaceboが比較されたCLEOPATRA試験において,PIK3CA遺伝子変異群では,pertuzumab群,placebo群いずれも正常群に比べて無増悪生存期間は不良であった[21]。この結果は,遺伝子変異によるPI3K/AKT/mTOR経路の活性化が予後に影響している可能性を示唆することから,この経路の阻害薬も効果が期待される。また,Trastuzumab,taxane既治療例の進行乳癌を対象としてtrastuzumab+vinorelbineにmTOR阻害薬(everolimus)とplaceboを比較したBOLERO-3試験において,everolimus群は有意に無増悪生存期間を延長した[22]。しかし,HER2陽性の進行乳癌の1次治療としてpaclitaxel+trastuzumabにeverolimusの上乗せ効果を検討したBOLERO-1試験では,無増悪生存期間の有意な延長は認められなかった[23]。この結果から,everolimusはtrastuzumabに対して耐性が出現した後に有効なのかもしれない。現在HER2陽性の転移・再発乳癌の1次療法はtaxane+trastuzumab+pertuzumab,2次治療はT-DM1が推奨されており[24],everolimusは3次治療以降で将来用いられるのかもしれない。その他,BKM120(PI3-kinase inhibitor),XL147(PI3-kinase inhibitor),MK-2206(AKT inhibitor)に関してHER2陽性乳癌を対象とした臨床試験が行われている[25]。

おわりに

HER2陽性の転移・再発乳癌の治療選択に関して,以前は抗癌剤を中心に選択されていた。しかし,pertuzumabとT-DM1の登場により,抗HER2薬を主体に治療選択が行われるようになった。将来それぞれのサブタイプに応じて分子標的薬を中心とした治療選択が行われるかもしれない。その際,どのような乳癌に効果が得られるのか,感受性を予測するバイオマーカーの開発は必須である。同時に,それぞれの薬剤に特有の有害事象に対して適切にマネージメントを行っていくことも極めて重要な課題である。現在数多くの分子標的薬が開発段階であり,今後臨床応用されることによって乳癌の予後は確実に改善するであろう。

【文 献】
 

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