日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集2
「特集2.多発性内分泌腫瘍症(MEN)以外の家族性内分泌外科疾患」によせて
日比 八束
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2015 年 32 巻 3 号 p. 174

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抄録

日常診療で患者さんから,自分が罹患している病気が子供にも発症する可能性があるかといった質問はよくされると思います。内分泌外科領域では多発性内分泌腫瘍症1型・2型は神経内分泌腫瘍が遺伝する疾患として有名であり,内分泌外科医から,その関連する疾患は遺伝する可能性があることを患者サイドに説明する機会は多いと思います。多発性内分泌腫瘍症1型・2型においては,関連疾患の病態,浸透率や予後などについて解明が進み,さらには国内外からもガイドラインが提示されており,その診断・治療方針については明確になってきています。しかしながら,言うまでもなく多発性内分泌腫瘍症1型・2型だけが家族性に発症する内分泌外科疾患ではありません。患者サイドに上記のような質問をうけて説明する時に,あるいは実際に家族性に発症している内分泌外科疾患症例に遭遇した時に,たとえ頻度は低くても多発性内分泌腫瘍症以外の家族性に発症する内分泌外科疾患についてよく知っておくことは内分泌外科医として必要なことと思います。

以上のことから,今回の特集ではあえて‘多発性内分泌腫瘍症以外の’家族性内分泌外科疾患をテーマに選びました。甲状腺分化癌については伊藤康弘先生に,原発性副甲状腺機能亢進症については野口病院の内野眞也先生に,副腎皮質腫瘍については札幌医科大学の櫻井晃洋先生に,副腎髄質腫瘍については筑波大学の竹越一博先生にと,内分泌外科領域の家族性疾患に造詣の深い,我が国を代表する先生方に執筆をお願いいたしました。この特集が内分泌外科領域に携わる方々のお役に立てれば幸いと存じます。

 

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