日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集2
「特集2.ガイドラインからみた膵・消化管NETの治療」によせて
土井 隆一郎
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2016 年 33 巻 2 号 p. 88

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抄録

膵・消化管の神経内分泌腫瘍(NET)の診療ガイドラインとしては,これまでNIH Pancreatic Neuroendocrine Tumors(Islet Cell Tumors)Treatment(PDQ®),Health Professional Version,NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology,Neuroendocrine Tumors,ENETS Consensus Guidelinesなどがあった。海外のガイドラインであるため,日本では認可されていない検査法,医薬品,治療法がある一方で,EUS-FNAなど日本が世界をリードしている検査法については積極的には扱われておらず,必ずしも使い勝手のよいものではなかった。

このような背景から,日本の医療事情を踏まえたガイドラインの作成が求められ,2015年4月10日に「膵・消化管神経内分泌腫瘍診療ガイドライン」が出版された。出版から1年程が経過し,治療選択の基準として用いられ,学会討議の場でも一定のコンセンサスとして認識されるようになった。一方で,ガイドラインが公表されて以降に,国内でソマトスタチン受容体シンチグラフィーが新たに保険収載され,また神経内分泌腫瘍に対する分子標的薬の適応拡大が予定されているなど,診療環境の変化も起こりつつある。臨床の現場からも,ガイドラインの推奨内容に対する意見も聞かれるようになってきた。

そこで本特集では,膵・消化管NETの治療における本邦ガイドラインの利用について焦点を当てた。いくつかのテーマに沿ったクリニカルクエスチョンをとりあげて,内容解説,利用の具体例,ガイドラインの問題点,ガイドライン変更の提案などについてまとめていただいた。一般にガイドラインは,少なくとも3年に1度の改訂が必要とされている。今回の特集が,ガイドライン改訂に寄与すれば幸いである。

 

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