日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集1
副腎悪性褐色細胞腫の外科的治療と周術期管理
今本 敬市川 智彦
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2018 年 35 巻 4 号 p. 240-246

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抄録

褐色細胞腫は治癒可能な内分泌性高血圧と位置づけられる一方,悪性腫瘍のリスクが極めて高い。約10%を占める悪性褐色細胞腫は早期診断法および確立された治療法のない希少難治性がんである。腫瘍の残存,転移には化学療法,核医学治療などを組み合わせて多角的な治療が行われるが,確実に有効な治療法はない。手術可能な症例は比較的良好な予後が期待できるため,可能な限り外科的に腫瘍を摘出し,手術不可能となった段階で集学的治療を行う。以前は2.9~3.9%の手術関連死があったとされるが,局在診断の進歩,薬物療法,麻酔管理の発達とともにその安全性は急速に上昇した。これにはα遮断薬の使用による血圧と循環血液量のコントロールが大きく寄与したとされる。カテコラミンの生理学的作用を理解し,術前・術後管理に精通すれば大きな合併症を招くことは少ないと考えられる。

はじめに

褐色細胞腫と腹部パラガングリオーマは,稀なカテコラミン産生腫瘍で,それぞれ,副腎髄質の内,外の交感神経から発生する。褐色細胞腫は多発性,悪性例がそれぞれ約10%を占める。褐色細胞腫の10%は,MEN2A,2B,VHL,神経線維腫症(von Recklinghausen病)1型に関連し,このような遺伝性のものは通常良性だが,散発性では,褐色細胞腫の10%,パラガングリオーマの15~35%が悪性とされる。悪性褐色細胞腫は早期診断が困難かつ確立された薬物治療がない難治性疾患である[,]。初回手術時にはその約30%以上が良性と診断され,一定期間後に骨,肝臓,肺などへの転移および局所浸潤を認める。

治療目標はカテコラミン過剰症状の抑制による環動態の安定,患者QOLの向上と予後の改善(死因となる心不全の防止)である。死亡原因の多くはカテコラミン過剰による不整脈や心不全であり,慢性的カテコラミン過剰が臨床経過や予後に大きく影響する。高カテコラミン血症を是正するため,全身状態が良好で,多発性転移,腹膜播種がなく,標的とする腫瘍が浸潤性でなければ原発巣,転移巣の摘出術を考慮する。悪性例では,症例毎にその状況での最善と思われる治療を選択し,根治を目指せないまでも,より良いQOLを保ったまま,生命予後を延長していくことが目標となる。

1.治療

悪性褐色細胞腫の治療に関してはデータの集積が不十分であり,化学療法(CVD療法;CPAシクロホスファミド,VCRビンクリスチン,DTICダカルバジン),原発巣摘除術,MIBG内照射療法,スニチニブ,転移巣摘除術など,様々な治療選択肢が存在する。

全体の5年,10年生存率が79.9%,63.9%であるのに対し,治癒切除例では93.3%,74.7%とされる。手術可能な症例は比較的良好な予後が期待できるため,可能な限り外科的に腫瘍を摘出し,手術不可能となった段階で集学的治療を組み合わせた治療を行う。なお,手術以外の高血圧クリーゼの原因として,化学療法,放射線照射,スニチニブによる腫瘍崩壊などが挙げられ,これらの治療中にも注意を要する。

厚労省研究班により,褐色細胞腫と悪性褐色細胞腫の診療アルゴリズムが作成されている(図1)。過剰カテコールアミンに対する対策としてα遮断薬およびβ遮断薬を併用する。カテコールアミン合成阻害薬であるαメチルタイロシン(デムサー®)も有効であるが,本邦では未承認である。長期予後の改善を示すエビデンスはないが,局所再発や多発性転移でも,可能な場合は腫瘍のデバルキング目的での手術も検討すべきとされている。

図 1 .

悪性褐色細胞腫・パラガングリオーマの診療アルゴリズム

1976年までは2.9~3.9%の手術関連死があったとされるが,局在診断の進歩,薬物療法,麻酔管理の発達とともに死亡率は急速に減少した。これにはα遮断薬の使用による血圧と循環血液量のコントロールが大きく寄与したとされ,カテコラミンの生理学的作用を理解し,術前・術後管理に精通すれば大きな合併症を招くことは少ないと考えられる。

2.カテコラミンの生理学的作用

アドレナリン(Ad)は副腎髄質で産生貯蔵され,ノルアドレナリン(NAd)は末梢神経末端で産生貯蔵,ドーパミン(Dop)は中枢神経で神経伝達物質として作用する。よって,両側副腎全摘後には,副腎からのAdは消失するが,NAdとDopは正常値を保つ。

カテコラミンはストレス,疼痛,寒冷,熱傷,低酸素,低血圧,低血糖,Na欠乏などにより節前交感神経が刺激されるとexocytosisにより細胞外へ放出され,全身に循環する。AdとNAdはMAO(monoamine oxidase)およびCOMT(catechol-O-methyltransferase)により分解され,血中の半減期は20秒以内である。カテコラミンの作用を増強させる薬剤として,MAO阻害薬(ザイボックス),プリンペランなどがある。

大量のカテコラミンにより心筋障害が生じる。カテコラミン心筋症(心不全,肺水腫,上室性または心室頻拍)と呼ばれ,α遮断薬や腫瘍摘除により心病変は可逆的であることが多い。

3.周術期管理

周術期管理として,術前には血圧のコントロールと循環血液量の増加目的に,末梢血管拡張作用を持つα遮断薬を十分量投与し,1~2日前から輸液を行っている。以前は術前4週間以上のα遮断薬投与が行われていたが,現在では2週間程度で十分とされている。発作型で不整脈や頻脈が出現する場合にはβ遮断薬を併用する。術中の血圧変動や不整脈,心不全に備え,循環動態のモニタリングや薬剤投与のために中心静脈での血管確保を行う。

(1)αブロッキング

●選択的α1受容体遮断薬:ドキサゾシン(®カルデナリン),プラゾシン(®ミニプレス)

ドキサゾシン:0.5~1mg/日より開始,3~7日毎に起立性低血圧が発生するまで徐々に増量(最大16mg)する。半減期16~30時間の長時間作用型で1日1回の投与も可能だが,一方で術後低血圧を遷延させる可能性があるので内服は術前日夜までとし,当日朝は必要であれば短時間作用型のプラゾシンを内服させる。また血液脳関門を通過しない。

プラゾシン:半減期が2~3時間と短く血圧コントロールが不十分のことがある。漸増し最終量は0.2mg/kg;成人60kgで12mg,12歳男児35kgで8mgである。

また,術前の3時間に生食500~1,000mlの点滴をして循環血液量の増加を図る。

●非選択的α受容体遮断薬:フェントラミン(®レギチン:静脈投与製剤),フェノキシベンザミン(®経口製剤,日本未承認,欧米では第一選択)

褐色細胞腫の13%に便秘を伴う。ノルアドレナリンがα受容体を介し腸管蠕動を過度に抑制するためである。生体内ではカテコラミン受容体の局在が臓器によって異なり,心血管系ではα1,2ともに存在しているが,消化管にはα1受容体は存在せずα2受容体のみ存在する。よって,腸管蠕動を改善させるためにはα2受容体を遮断する必要があり,便秘にはフェントラミン投与が必要となる。

●フェントラミンテスト:これらαブロッキングの効果判定のため,非選択的α受容体遮断薬(静脈投与製剤)であるフェントラミンによるテストが行われる(表1)。

表 1 .

フェントラミンテスト

(2)褐色細胞腫クリーゼPheochromocytoma multisystem crisis(PMC)

カテコラミン産生腫瘍に起因する非常に稀なクリーゼで,臨床的に高熱,重篤な血圧異常,脳症,多臓器不全を呈する。褐色細胞腫クリーゼに対する適切な手術時期は不明であるが,急性期の手術はリスクが高いと考えられ,可及的に内科的治療を行い全身状態改善後に手術を行うことが望ましい。αブロッカーなどの薬物療法に加え,カテコラミン除去目的に早期から持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration;CHDF)を併用することで,褐色細胞腫クリーゼの急性期を乗り切り,呼吸循環動態を改善させた後に安全な腫瘍摘除を目指す。

(3)腹腔鏡手術

副腎腫瘍に対する腹腔鏡下手術の適応は,小さな良性腫瘍のみならず,大きな腫瘍,褐色細胞腫,両側副腎腫瘍,転移性副腎癌など,様々な副腎疾患に広がっている[]。大きな腫瘍や褐色細胞腫に対しては,当初否定的な意見が多かったが,最近では適応云々よりも,むしろ術者や麻酔科医を含めた手術チームの技量を求める意見が多い。現在,適応外とされ,開放手術が推奨されるのは,画像上,周囲との癒着や浸潤が疑われる比較的大きな腫瘍のみである。当科では1994年4月から副腎腫瘍に対し腹腔鏡下副腎摘除術を開始し,1997年4月から褐色細胞腫に対しても腹腔鏡手術を開始,これまで約100例に施行している。

腹腔鏡下副腎摘除術のアプローチは,大きく経腹膜到達法と後腹膜到達法にわけられる。泌尿器科医のほか,内分泌外科医を中心とした外科医が腹腔鏡下副腎摘除術を施行している現状では,70~80%が経腹膜到達法で施行されているとされる[]。著者らの施設では,積極的に後腹膜鏡下側方アプローチによる副腎摘徐術を施行しており[],1995年6月~2012年12月までに施行した腹腔鏡下副腎摘除術417例のうち,経腹膜到達法が139例,後腹膜到達法(側方)が249例,後腹膜到達法(後方)が29例であった。多くの文献でも述べられているとおり[,],経腹膜到達法と後腹膜到達法との間に大きな差はなく,それぞれの施設において習熟した方法を用いるのが妥当である。後腹膜到達法,経腹膜到達法ともに,副腎周囲の剝離操作以降は手術手技として大きな差はない。しかしながら後腹膜腔は操作スペースが比較的狭いことより,褐色細胞腫や腫瘍径5cm以上などでは経腹膜到達法が望ましい。ただし,腹腔内手術の既往があるような症例では,褐色細胞腫であっても後腹膜到達法を考慮に入れてよいと考える[]。表2に副腎摘除術の各種到達法の長所・短所を示した。

表 2 .

腹腔鏡下副腎摘除術の各種到達法の長所・短所

(4)術中術後合併症

以下のように,褐色細胞腫手術の難易度は通常の副腎腫瘍より高いため,腹腔鏡手術の技術に応じ,執刀する症例を適切に選択する必要がある。また,術当日は集中治療室管理が望ましい。

●高血圧クリーゼ

手術操作による高血圧クリーゼ(sBP>200mmHg)や脳出血のリスクがある。12mmHgの気腹圧でカテコラミンが10倍に上昇し,約半数で高血圧を呈するともいわれ,当科では気腹圧8mmHgで施行している。血圧が急激に変動するのは手術操作で腫瘍を圧迫することが主な原因であり,不用意な腫瘍圧迫を避けると同時に,避けられずそのような操作を行う際には麻酔科医に適宜状況を伝える必要がある。ブリッジ,索に通した鉗子を副腎と接線方向に引き,副腎を押さないようにするなどの注意が必要である。血圧,心拍数の急激な上昇があった際には一旦操作を中断,脱気し,sBP140~150mmHg程度に下がるまで待機する。

●出血

他の副腎腫瘍に比べ腫瘍が大きく血流が豊富なことが多く,その分出血のリスクが高くなる。また,先に中心静脈を処理するとうっ血で腫瘍表面からwoozingが起こることがあり,クリッピング前にクランプして末梢側が怒張しないことを確認する,あるいは中心静脈処理の前に,腫瘍周囲をある程度処理し動脈血流を減らしておくことが有効である。

●低血圧発作

副腎静脈結紮直後の低血圧発作(sBP<80mmHg)が起こり易い。副腎静脈を結紮後5分以上かけて血圧が低下し,その後遷延する。原因として,血管内血液量の不足,術前のα遮断薬の残存,急激な静脈容量の増加が挙げられる[]。対処法としては,ドーパミンを少量持続静注して収縮期圧を90mmHg以上に保つ。ノルアドレナリンの投与が必要になることもある。静脈処理前からの麻酔科医との連携が重要となる。血圧維持のため術中・術後輸液が過剰になることがあり,うっ血性心不全,肺水腫の発生にも注意しなければならない。

●低血糖

術後にカテコラミンによるインスリン分泌抑制が解除され低血糖になることがあり,これにも留意が必要である。重篤な低血糖が術後2時間以内に発生し昏睡状態にもなりうる。

●腸管蠕動不全

カテコラミンによる腸管麻痺が術後も続いていることが多い。

(5)腹腔鏡手術か開放手術か

安全な腹腔鏡下手術の確立には,腹腔鏡下手術が困難と考えられる症例を術前に見極めることが重要である。どのような症例が腹腔鏡下手術の適応外かという議論は,腹腔鏡下手術から開放手術に移行した症例をフィードバックして検討する必要がある[]。腹腔鏡下手術の成否を左右するのは腫瘍径ではなく腫瘍周囲との癒着や浸潤であり[10],褐色細胞腫のみを対象とした場合でも同様の報告[1112]であった。副腎外のパラガングリオーマに対しても,手術手技の難しさや悪性の可能性が高いことを理由に腹腔鏡下手術の選択は慎重にすべきとされている[13]。癒着や浸潤を術前に見極めることは困難だが,栄養血管に富む腫瘍や側副血行路の発達した腫瘍,周囲との境界が不明瞭な腫瘍は,大きさを問わず癒着や浸潤があると判断すべきである。高CO2血症や呼吸性アシドーシスも術中の高血圧を惹起する[14]。よって,心肺負荷を避けるべき症例や基礎疾患の存在などにより長時間の気腹手術がハイリスクであると考えられる場合には,当初より積極的に開放手術を考慮すべきである。

また腫瘍径6cm以上では悪性の可能性も考慮する必要性が生じ,port site recurrenceや腫瘍播種の報告例もあるため腹腔鏡下手術の適応に関しては議論すべき点が残る[15]。腫瘍径の大きな褐色細胞腫については,6cm以上を対象とした腹腔鏡手術と開腹手術との比較にて,腹腔鏡手術では手術時間がより長いものの,出血量や術後回復,入院日数において優位であり,術中の循環動態イベントや術後再発に差を認めなかった[1617]。4または6cmをカットオフとした腫瘍径での褐色細胞腫腹腔鏡手術の成績比較では,手術時間,循環動態,開腹移行,合併症率,入院日数に有意差を認めなかった[1820]。

悪性腫瘍に関しては,全ての研究が後ろ向きで症例数が少ないため一定の見解は得られていないが[21],局所浸潤やリンパ節転移が認められる悪性腫瘍は開放手術が第一選択とさている[22]。2017年のEAUガイドラインは,隣接臓器浸潤のない副腎皮質癌の一部の症例は腹腔鏡手術の適応となるが,gold standardはいまだ開腹手術であるとしている[23]。悪性褐色細胞腫については,アメリカのNational Cancer Database(NCDB)を用いた103例の検討で,腹腔鏡手術は開腹手術と比較し断端陽性率や合併症に差はなかったが,腫瘍径が有意に小さく(48.7 vs. 73.3mm,p=0.003),在院日数がより短かった[24]。

開放手術では特に,周囲臓器(大血管,腎,腸管,肝,膵脾,横隔膜など)への浸潤が疑われる症例が対象となることが多い。これらの浸潤に対処すべく,術前から当該科との密な連携をとり,浸潤臓器の合併切除の可能性も含め,診療科をまたいだ合同手術にて完全切除を目指す。特に下大静脈浸潤が疑われる場合,バイパス,人工血管によるIVC再建などの準備や血管外科医・消化器外科医との連携など,周到に準備しておくことが手術を安全に行う観点から重要である。

4.手術の意義

ADL低下に大きく影響する症状として,カテコラミン過剰による動悸,血圧変動(発作性高血圧と起立性低血圧),麻痺性イレウス(便秘)が挙げられ,主な死因もカテコラミン過剰による不整脈や心不全とされる[25]。よって,再発,転移を有する症例の治療目標は,カテコラミン過剰症状の抑制,無増悪生存期間の延長,死因となる心不全発症を遅らせることであり,手術による腫瘍のデバルキングが臨床的意義を持つこととなる。

悪性例でも全身状態が良好で,多発性の肝・肺転移,腹膜播種がなく,摘出術の標的とする腫瘍が浸潤性でなければ原発巣,転移巣の摘出術を考慮すべきである。もちろん,その場合の手術自体は根治的ではないが,腫瘍容積の減少は高カテコラミン血症改善に一定期間有効であり,ADLの改善が期待できる[26]。

5.予後

良性の5生率は95%以上であり,短中期の再発率は10%以下であるが,10年再発率は16%で若年者,大きな腫瘍,家族性,両側性,副腎外腫瘍に再発が多い。再発例の半数が悪性である。褐色細胞腫の再発転移までの期間は比較的長いものが多く(10年以上),平均5年(1~30年)とされ,長期にわたる血中カテコラミン測定や画像検査が必要である。41年目に再発した症例も報告されており,終生にわたる観察が必要ともいわれる[27]。診断時に既に転移を有する悪性の褐色細胞腫,パラガングリオーマの5年生存率は20~45%と予後不良で,悪性髄質腫瘍は主(~50%)に副腎外に存在する。

悪性褐色細胞腫の予後は症例によって様々である。以前より,悪性例の5年生存率は約20%とされてきたが[28],Tanabeらは,再手術,化学療法,α-MT療法(メチロシン(αメチルチロシン)内服),骨への外照射を組み合わせて積極的に治療した場合,初回診断後の5年生存率は90%,悪性と診断されてからの5年生存率は65%と良好であったと報告している[2529]。また,10例における死因については,カテコラミン過剰による急激に進行する心不全が最も多く,次いで肺転移による呼吸不全,出血性ショック,癌性腹膜炎であった。一方,肝不全,腎不全による死亡はなく,脳血管障害,虚血性心疾患,病的骨折の発症例もなかった。

おわりに

局在診断の進歩,薬物療法,麻酔管理の発達と共に褐色細胞腫手術の安全性は急速に上昇した。カテコラミンの生理学的作用を理解し,術前・術後管理に精通すれば大きな合併症を招くことは少ない。ただし褐色細胞腫手術の難易度は通常の副腎腫瘍より高いため,手術技術に応じ,執刀する症例を適切に選択する必要がある。

2017年WHOの声明では,褐色細胞腫は全例,potentially malignantとして扱うべきとされた。単発性,良性腫瘍と考えられても,術後,定期的に慎重に経過観察することが推奨される。画像での全身検索,病理組織所見のスコアリング,また必要に応じて遺伝子解析も検討する。Pheochromocytoma of the adrenal gland scaled score(PASS)に基づいたscoring では(表3)[30],転移を来した悪性例は全てPASS≧4であり,PASS≧14では,33例/50例で術後に転移が出現したという。悪性と診断されたら,可能な腫瘍の切除を検討するとともに,MIBG内照射療法,CVD化学療法の実施を検討する。治療効果は限定的ではあるが,一定のbiochemical responseは期待できる。

表 3 .

Pheochromocytoma of the adrenal gland scaled score(PASS)文献[30]より引用改変

【文 献】
 

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