日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
特集2
「特集2.内分泌外科医に知ってもらいたい内分泌内科の現状」によせて
伊藤 公一
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2018 年 35 巻 4 号 p. 262

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本年6月に第30回日本内分泌外科学会総会を盛会裏に主催することが出来た。

ひとえに座長や講演者の皆様をはじめとし,参加頂いた全ての先生方,協力を下さった企業の皆様,日本コンベンションサービス担当者方々の御支援によるものであり,誌面を借りて深謝申し上げる。

そして今回は,ついに50年の歴史を持つ日本甲状腺外科学会との発展的統合が成されたことより,現行の日本内分泌外科学会幕引の節目となった。

今後は法人格も取得し,さらにステップアップした学会が再スタートするわけだが,この好機会に内分泌外科医の仕事を鑑みると,筆者が専門とする甲状腺・副甲状腺に加え,副腎疾患,そして膵臓,乳腺,脳神経内分泌疾患までもが含まれ,その診療領域が実に幅広いことに,あらためて気付かされた。

よって学会員,専門医は,体表臓器の外科診療を行う乳腺・甲状腺外科医から耳鼻科・頭頸部外科医,副腎手術を担当する泌尿器科医,膵臓疾患を取り扱う消化器外科医,下垂体腫瘍を専門とする脳外科医,さらには放射線科医,病理医までと実に多岐に渡っていることを認識するに至った。

今特集は,それらの幅広さを念頭に企画したものである。

あらゆる臓器別診療科において,当然の如く,内科系医師の診断と外科系医師の治療が流れるようにコンビネーションすることが肝要である。そして,それら実現のためには互いが,それぞれの診療進歩を正確にキャッチアップする必要がある。

さらにホルモンを産生する対象臓器の性質より,内分泌外科医には器質的疾患の摘除のみならず,機能異常への対処が求められるわけだ。

それらの特殊性を踏まえ,適応が狭まってきたとはいえ,まだまだ手術治療の適応疾患が存在するバセドウ病,妊娠・周産期においてシビアな管理が求められる甲状腺機能異常,増加している原発性副甲状腺機能亢進症非手術例の内科的治療にスポットを当て特集を組んだ。

本特集の内容が,内分泌外科医の日常診療発展の一助となることを強く願う。

 

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