日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
特集2
外科治療が適応となるBasedow病の特徴と注意点
渡邊 奈津子
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2018 年 35 巻 4 号 p. 272-276

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抄録

Basedow病に対する外科治療はホルモン産生の場である甲状腺組織をなくし,甲状腺腫による圧迫を解除し,TRAb値によらず機能を正常化でき,かつ抗原でもある甲状腺組織の速やかな消退によりTRAb値は術後徐々に低下し甲状腺特異的自己免疫異常の改善も期待できる大きな利点がある。抗甲状腺薬の副作用,治療抵抗性,寛解困難で大きい甲状腺腫,併存症のため機能正常の確実な維持を要す,腫瘍性病変の合併,活動性眼症,TRAb値が高く早期の妊娠を望む症例が適応となる。手術日をもって確実に甲状腺機能が改善するため,社会的背景などから早期寛解を要す場合も外科治療はよい適応となる。再発回避,TRAb値改善の点から術式は亜全摘術より全摘術がよい。抗甲状腺薬の副作用例ではヨウ素薬・副腎皮質ステロイド薬などを組み合わせ,甲状腺機能を適切にコントロールすること,大きい甲状腺腫による気道狭窄例では遅延なく手術をすすめることが必要である。

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