2019 年 36 巻 2 号 p. 107-111
日本では2018年4月に“白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法”として,初のPARP阻害薬としてOlaparib(リムパーザ®)が登場した。その後Olaparibは2018年7月に“がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌”が適応となった。乳癌診療では遺伝性乳癌・卵巣癌症候群という遺伝性腫瘍を対象とした治療薬としては本邦初の適応であり,コンパニオン診断プログラムである“BRACAnalysis診断システム”により生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異の判定結果に基づきOlaparibの適応は決定される。本稿ではBRCA,PARP,PARP阻害剤と遺伝学的検査についてのべる。