2019 年 36 巻 4 号 p. 197
臨床疫学の泰斗Alvan Feinstein先生が臨床計量学clinimetricsの必要性をAnnals of Internal Medicine誌に説いたのは1983年のことであった。彼はその中で,臨床研究のアウトカムとして癌ならば生存時間や腫瘍の大きさ,冠動脈疾患なら生存時間や心電図の変化,そして診断検査がテーマなら感度・特異度あるいは尤度比などがよく用いられるけれども,生活の快適さやいわゆるQOL,疾患の重症度や仕事への復帰,そして検査を受けることの手間や安堵感といった大切なことがらはそれまで取り上げられなかったことを指摘した。三十有余年が経ち,そうした“soft data”によるアウトカム研究は徐々に浸透してきた。方法論上の発展に貢献したのは心理計量学psychometricsである。
本特集では患者視点の健康状態に関する現在の知を樋之津史郎教授に解説いただいた。こうした研究が内分泌外科領域においても広く普及することを期待したい。