日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
特集1
「特集1.第53回日本内分泌外科学会学術大会より~進行甲状腺癌の治療」によせて
筒井 英光
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2021 年 38 巻 2 号 p. 55-56

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第53回日本内分泌外科学会学術大会を2020年11月26日と27日の2日間,完全WEB方式で開催させていただきました。オンデマンド配信は12月3日より3週間行いました。WEB方式は「withコロナ」がもたらした新しい学会様式ですが,当時は未だ定着したとは言えない時期であり,不行き届きの点も多かったと思います。そのような状況で大過なく学会を開催できましたのは,会員の皆様のあたたかいお力添えの賜物であり,心より御礼申し上げます。

学術大会のテーマは「集え,内分泌外科の頂へ」としました。お互いをリスペクトしながら,多くの領域の研究者に診療科の垣根を越えて最先端(頂)の内分泌外科を熱く議論して欲しいという願いを込めたものです。新型コロナウイルス感染拡大により,参加者の皆様と面と向かって対話をすることはかないませんでしたが,約500名の皆様にWEB会場に集まっていただくことが出来ました。

今回オンラインでの学会開催のメリットを生かし,参加者がどの演題に多く(興味を持って)アクセスしているかを調査しました。教育セミナーおよび共催セミナーを除いたライブ視聴数(表1)とオンデマンド配信の視聴数(表2)の多かった演題を示します。ライブでは,当日のプログラム編成との兼ね合いがありますが,「アンガーマネージメント」と「放射線外照射」が多くの視聴者を集めました。手術不能甲状腺癌の治療として,IMRTや陽子線治療などの新しい放射線治療への関心の高さを物語っていると思います。オンデマンド配信では参加者は都合の良い時間に聴講できるため,視聴者数はダイレクトに興味の高い講演内容であることを示します。ここでは「反回神経の再建,とくに喉頭内神経吻合」へのアクセス数が際立っておりました(759名)。また,甲状腺癌においても遺伝子変異に合わせた分子標的薬の臨床導入が秒読み段階であることを反映して,「がんゲノム医療」の講演が注目を集めました。

表1.

当日視聴状況(敬称略)

表2.

オンデマンド視聴状況(敬称略)

本学術集会では「進行甲状腺癌の治療」と題して5つの特別企画を組み,手術(気道浸潤,縦隔リンパ節転移)から放射性ヨウ素内用療法,放射線外照射,分子標的治療まで,ご講演を賜りました。このなかで,オンデマンド配信の視聴者数が多かった演題は,会員の皆様の興味が高く,もう少し詳しく知りたいのではないかと考え,それぞれの企画で聴講数の多かった演題に関する原稿執筆をお願いしました。放射性ヨウ素内用療法については,座長の阿部光一郎先生に各講演の内容を総説の形でわかりやすくまとめていただきました。

ご多忙の中,本特集をご執筆いただいた先生方に深く感謝申し上げます。もとより会員の皆様の興味が高かった分野であり,読み応えのある内容となっています。本特集が甲状腺癌診療を担う多くの先生方に役立つ知識を提供してくれることを確信しております。

 

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