日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
特集2
甲状腺癌の外科治療
宮 章博宮内 昭
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2021 年 38 巻 2 号 p. 92-95

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抄録

隈病院で行っている甲状腺癌に対する標準的な手術を紹介する。甲状腺癌の手術では意図した範囲の完璧な切除,出血と副損傷を避けること,きれいな手術瘢痕とすることが重要である。特に重要なポイントとしては,反回神経,上喉頭神経外枝と副甲状腺への対応がある。1)術中神経モニタリング装置(NIM)の導入後は,全症例で反回神経のみならず上喉頭神経外枝を確認し温存に努めている。この結果,上喉頭神経外枝の認識率が大幅に向上し,音声障害が減少した。2)副甲状腺機能温存のために,上副甲状腺は下甲状腺動脈のみならず,上甲状腺動脈の血流も保つようにする。副甲状腺を温存できない場合には,筋肉内に移植する。甲状腺は頸部中央区域リンパ節とともに切除するので,下副甲状腺はこれらの中から見つけ出し移植する。これらの手技は術後のQOLに大きく影響するので,特に注意を払っており,さらに良質の手術を提供できるように努めている。

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