日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
特集2
小児若年者甲状腺癌の遺伝子変異
岩舘 学松本 佳子塩 功貴鈴木 聡水沼 廣鈴木 眞一
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キーワード: 甲状腺癌, 小児, 若年者, BRAF, RET
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2021 年 38 巻 3 号 p. 175-179

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抄録

小児若年者の甲状腺癌は成人と比べ稀であり,組織型としては90%が乳頭癌であり,濾胞癌,髄様癌は少ない。BRAFV600E変異は成人の甲状腺乳頭癌で最も多くみられる遺伝子変異であり,散発性の小児若年者甲状腺乳頭癌は8.8~63%と論文の報告によってさまざまであるが若年者ほど頻度は少ない傾向である。福島原発事故後の小児若年者甲状腺癌では,20代以上が多く含まれているため全体としてBRAFV600E変異は69.6%であった。また,小児若年者甲状腺癌にみられる遺伝子異常はRET/PTC融合遺伝子やNTRK融合遺伝子が成人よりも多いとの報告が多く,特にRET/PTC1は放射線非被ばく小児例で多くみられる。一方,RET/PTC3はチェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺乳頭癌で多く認められる。高齢者にみられるTERTプロモーター変異は小児若年者の散発性甲状腺乳頭癌ではほとんど認めない。

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