2022 年 39 巻 1 号 p. 49-55
副甲状腺囊胞は副甲状腺機能亢進を伴う機能性囊胞と伴わない非機能性囊胞に分類される。ときに囊胞が機能性か非機能性か,あるいは他の囊胞性疾患かの鑑別に難渋する場合がある。われわれが最近経験した副甲状腺囊胞8例のうち,機能性は2例,非機能性は6例であった。機能性囊胞は2例とも当該囊胞が責任腺であるとの術前確定診断には至らなかった。非機能性囊胞のうち3例は手術を行い,ほか3例は経皮的穿刺による囊胞内容液の性状や生化学検査で診断に至った。非機能性囊胞症例のうち1例は囊胞とは別の腺の副甲状腺腺腫による副甲状腺機能亢進症を呈していた。当院で経験した8例をもとに副甲状腺囊胞の診断について検討する。