2022 年 39 巻 2 号 p. 92
この特集は褐色細胞腫updateというテーマで2022年時点における,褐色細胞腫の診断,治療の最新情報を各分野のエキスパートに解説して頂こうと企画しました。褐色細胞腫は稀な腫瘍ではありますが,副腎腫瘍を扱う外科系医師であれば経験したことがある腫瘍と思います。遺伝学的知識の必要性,良悪性の鑑別が困難なこと,周術期管理などに非常に高い専門性が要求される腫瘍です。内分泌外科医が最もその存在感を示せる病変と思います。
日本内分泌外科学会雑誌で褐色細胞腫全般を取り上げた特集は2008年以来となります。また,邦文の褐色細胞腫・傍神経節腫ガイドラインは2018年に刊行されたもののみです。実際の臨床の現場においては,多くの分子標的薬をはじめとする新規薬剤の登場,パネル検査に象徴されるゲノム医療の臨床現場への導入など進んでいます。周術期管理についても,本邦のガイドラインでは,ごく簡単に触れられているのみで,外科系医師の視点からはやや物足りないものと感じています。このような現状を踏まえ,より臨床に直結するガイドラインのような内容を目指しました。
この特集が褐色細胞腫診療に関わる医師の知識をupdateできるような内容であればこの上もない幸いです。