ジャフィー・ジャーナル
Online ISSN : 2434-4702
ベイズ推定を利用した利益ベースの構造型信用リスクモデルの改良
山本 零澤田 一成
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2019 年 17 巻 p. 1-14

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抄録

山中・中川(2016)では構造型モデルの一種として, 利益ベースの構造型モデルが提案された. 利益ベースの構造型モデルは, 従来の構造型モデルで企業価値として使用される株式価値を将来利益の割引現在価値に置き換えたものであり, 将来利益の挙動をモデル化することで信用リスクが計測できることが特徴である. 本論文では, 情報が乏しく株価のない非上場企業の信用リスク評価を行うために先行研究を参考にして利益ベースの構造型モデルを定式化し, リスクプレミアムの分解と利益変化のドリフトのベイズ推定という2つの改良方法を提案した. 実証分析では, 提案モデルを用いて国内の非上場企業の倒産確率を推計し, 実際の企業の信用力と整合的な信用力評価が可能であることやAR値などの精度評価指標が実用モデル程度の値になることを示した.

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© 2019 一般社団法人日本金融・証券計量・工学学会(ジャフィー)
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