ジャフィー・ジャーナル
Online ISSN : 2434-4702
極性分析を用いた決算説明会のイベントスタディと株式投資戦略における極性指標の最適化
中塚 洋佑水門 善之
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2024 年 22 巻 p. 1-10

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抄録

企業の決算説明会では決算内容の説明や参加者との質疑応答が行われ,過去の業績や将来の見通しを知る重要な機会であると考えられる.本研究では決算説明会での発言を書き起こしたテキストデータの極性分析を行い,財務データや株価との関係を明らかにした.財務データが決算説明会の極性に与える影響を評価するため,売上高や利益率と極性の相関を分析した.次に決算説明会と株価リターンの関係をイベントスタディと回帰分析で検証した.その際,市場全体の影響を取り除くためFama-French 3ファクターモデルによって計算した株価の異常リターンを用いた.結果,イベントスタディから短期の異常リターンと極性との関係が明らかになった.特に質問・回答部分は付与された極性の割合が小さいにもかかわらず,それらの極性の違いが異常リターンの差につながった.ここから質疑応答は業績に関する重要な情報を持つことがうかがえる.これを踏まえて,異常リターンに最適化した極性指標の構成を試みた.最適化された極性指標は全体の極性より大きな異常リターンに繋がる可能性が示唆された.

(本論文は第59回2023年度夏季JAFEE大会(成城大学)での発表を発展させた内容を含む.)

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© 2024 一般社団法人日本金融・証券計量・工学学会(ジャフィー)
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