2026 年 24 巻 p. 79-93
債券投資家は,市場環境の変化を見据えてポートフォリオの入れ替えを行う.市場参加者全体のポートフォリオ構成の先行きを考察する上で,QUICK月次調査が示すデュレーションのスタンスに関する情報は有用である.デュレーションとは債券価格の金利感応度を示す指標であり,投資家がデュレーションを伸ばすとは,一般に金利変動リスクを積極的に取り,より長い残存期間の債券への投資を増やすことを意味する.そのため,長期債や超長期債の需給動向を展望する上でも,市場参加者のデュレーションのスタンスは重要な役割を果たす.本研究では,債券市場参加者のデュレーション見通し情報の,日本国債利回り予測における有効性を統計的に確認した.併せて,フォワードレートや市場参加者の利回り見通しとの比較を通じて,デュレーション見通し情報の,利回り予測における有効性を示した.さらに,デュレーション見通し情報を特徴量として機械学習モデルに組み込むことで,利回り予測の精度が向上することを確認した.これらを通じて,本研究では日本国債利回り予測における債券市場参加者のデュレーション見通し情報の有効性を明らかにした.