2010 年 52 巻 1 号 p. 21-27
近年、我が国においては、少雨化や降水量の変動の増大、少雪化によって水利用の安定性が低下してきている。そのため、ダム等の水資源施設が計画当初の能力を安定的に発揮することが困難になるなど、毎年のように全国のどこかで渇水が発生している。このような地球温暖化に伴う気候変動に対応した水量の安定的な確保に関する課題とともに安全でおいしい水や豊かな環境等に対する国民の意識の高まり、水資源関係施設の老朽化を背景とした事故・水質悪化のリスク、震災時の水供給力低下等の課題が顕在化している。このような課題を包括的・一体的に捉えて水資源を総合的にマネジメントする「総合水資源管理」を推進する時機になっている。ここでは、総合水資源管理における地下水対策について紹介する。