地下水学会誌
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52 巻, 1 号
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巻頭言
50周年特集号
  • 徳永 朋祥
    原稿種別: 50周年特集号
    2010 年52 巻1 号 p. 5-7
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
  • 中原 正幸, 今泉 眞之, 長田 実也
    原稿種別: 50周年特集号
    2010 年52 巻1 号 p. 9-19
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    わが国の農業用地下水使用量は年間約33億m3と地下水全使用量の約3分の1を占めており、干ばつ時など非常用としても、重要な水源である。農林水産省では、灌漑用水など農業用水源を確保するため、地表水の導水が困難な地域や地下水利用障害が発生している地域において、地下水開発や保全の調査を進めてきた。その過程で、地下水探査技術の開発研究も併せ行ってきた。安定した量・質等の特性をもつ地下水には、今後もその賦存状況に応じた活用が期待されるため、適正な開発や保全、あるいは管理が求められる。その実現のためには、地下水盆毎の、よりいっそう正確な地下水流動の把握や変動予測、資源評価など、客観的な分析が必要となろう。
  • 山口 嘉一
    原稿種別: 50周年特集号
    2010 年52 巻1 号 p. 21-27
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    近年、我が国においては、少雨化や降水量の変動の増大、少雪化によって水利用の安定性が低下してきている。そのため、ダム等の水資源施設が計画当初の能力を安定的に発揮することが困難になるなど、毎年のように全国のどこかで渇水が発生している。このような地球温暖化に伴う気候変動に対応した水量の安定的な確保に関する課題とともに安全でおいしい水や豊かな環境等に対する国民の意識の高まり、水資源関係施設の老朽化を背景とした事故・水質悪化のリスク、震災時の水供給力低下等の課題が顕在化している。このような課題を包括的・一体的に捉えて水資源を総合的にマネジメントする「総合水資源管理」を推進する時機になっている。ここでは、総合水資源管理における地下水対策について紹介する。
  • 是澤 裕二
    原稿種別: 50周年特集号
    2010 年52 巻1 号 p. 29-34
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    地下水は、良好な水質を有する水源として、生活用水などに広く利用されてきた。しかしながら、水需要の増加に伴う地下水の揚水量の増大などによる地盤沈下、トリクロロエチレン等の有機塩素化合物や硝酸性窒素などによる水質汚染、都市化の進展などによる湧水の枯渇等の問題が顕在化し、さらに近年では気候変動に伴う海水面の上昇や降水量の変化による地下水・地盤環境への影響も懸念されている。本稿に於いては、地下水質と地盤環境の現状について紹介するとともに、それらの保全のための環境省の施策の状況や今後の展望について報告する。
  • 中嶋 博, 金子 紘士, 土田 稔
    原稿種別: 50周年特集号
    2010 年52 巻1 号 p. 35-47
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    東京都では、大正の初め頃から地盤沈下が起きており、戦後の復興とともに地盤沈下が進行した。特に、昭和30年代から40年代にかけて、地盤沈下は激しくなってきた。
    このような状況に対し、都は、法律や条例に基づき、地下水揚水規制や地下水位の観測、雨水浸透の推進などの地下水対策に積極的に取り組んできた。
    その結果、現在東京都における地盤沈下は沈静化傾向にあるが、完全には終息しておらず、地下水位も微増から横ばいで頭打ちの状況にあり、現行の揚水規制を緩和すれば地盤沈下が再発する可能性がある。そのため、地盤沈下を未然に防止する観点から、揚水規制を引き続き維持するとともに、地下水のかん養量を増加させるための施策の推進を一層図る必要がある。
    本稿では、都における地盤沈下の状況やその対策を振り返りつつ、今後の課題等について概説する。
  • 小嶋 一誠
    原稿種別: 50周年特集号
    2010 年52 巻1 号 p. 49-64
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    熊本県は、清冽で美味しい地下水を涵養している県として知られている。水資源としては、県内に球磨川を初め多くの河川があり、又、水前寺江津湖湧水群など千箇所を超える湧水源を有する。一方で、豊かな水環境の中で、水資源の多くを地下水に依存してきた。水量・水質に関する課題が顕在化する中で、熊本県では、「水循環」という視点から地下水の水量と水質を総合的に管理することにより、将来に亘って持続的に地下水を活用しようとしている。特に熊本地域では、1996年3月に熊本県と熊本市など16市町村により第一次熊本地域地下水総合保全管理計画とそれを引き継ぐ第二次熊本地域地下水総合保全管理計画を2008年9月に策定して、地下水涵養や採取量抑制、さらには、地下水質悪化等に対する様々な施策を行ってきた。この論文では、第一次および第二次熊本地域地下水総合保全管理計画を中心に報告する。
  • 原稿種別: 50周年特集号
    2010 年52 巻1 号 p. 65-73
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    神奈川県では、県民生活を支える豊かな水の恵みを将来にわたって安定的に確保するため、今後20年間の取組の基本指針となる「かながわ水源環境保全・再生施策大綱」および最初の5年間に充実・強化して取り組む「実行5か年計画」を策定し、平成19年度から、水源環境保全税を財源として順応的管理の考え方と県民会議による県民参加に立脚した種々の水源環境保全・再生施策に取り組んでいる。
  • 地域の水の統合的管理を目指して
    佐々木 和乙
    原稿種別: 50周年特集号
    2010 年52 巻1 号 p. 75-77
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    愛媛県西条市は自噴水「うちぬき」等、良質な地下水が住民の生活の糧として現在も利用されており、自家用水(上水道ではなく各戸が井戸を使用)の家庭が50%を占めています。
    この地下水は地下20m~50mの比較的浅い帯水層から汲み上げられていますので、将来懸念されるその水質・水量を保全することが行政の最重要課題となっています。
    地下水の動きを解明する為に、西条市は過去および現在に科学的に緻密な地下水資源調査を行ってきました。
  • 片岡 八束
    原稿種別: 50周年特集号
    2010 年52 巻1 号 p. 79-86
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    地下水は、飲料水源やかんがい用水としてだけでなく、特に社会経済発展の初段階における都市用水として、重要な役割を果たしてきた。一方、過剰揚水や不適切な管理を原因とする地下水資源の枯渇や地下水汚染が世界各地で報告されている。(財)地球環境戦略研究機関(IGES)では、アジアの持続可能な発展における地下水の重要性に鑑み、2004年からアジア都市域における地下水管理研究を実施してきた。本稿では、同研究を中心にアジア地域を中心に地下水資源管理に関する現状と課題を報告するとともに、今後のIGESの今後の研究課題について紹介する。
短報
  • CVOCsによる地下水汚染の自然減衰プロセス解明に向けて
    斎藤 健志, 田瀬 則雄, 辻村 真貴, 丸岡 照幸, 中島 誠
    原稿種別: 短報
    2010 年52 巻1 号 p. 87-96
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    国内の揮発性有機塩素化合物(CVOCs)原液について、その炭素安定同位体比(δ13C)を明らかにすることを目的に、5化合物12種類のCVOCs原液を入手し、試料準備法を確立したオンラインシステムにより、δ13C測定に供した。本試料準備法では、沸点が70℃程度以上のCVOCs原液であれば、±0.10~0.26‰(n=2~5)の誤差で測定できることが明らかになった。この測定性能の下、国内のCVOCs原液について、有するδ13Cに差異が認められた。また、海外のCVOCs原液と比較して、国内のそれが有するδ13Cは、顕著に狭い範囲であることが分かった。これより、海外において化合物レベル安定同位体比測定(CSIA)を適用した場合と単純に比較したとき、国内においての方が自然減衰プロセスの評価に有効であると考えられる。さらに、国内のCVOCs原液についてのみ比較した場合には、PCEよりもTCEおよび1,1,1-TCAの方が、その評価により適している。このように、国内におけるCVOCs原液のδ13Cを明らかにすることで、より詳細にCVOCsによる土壌・地下水汚染を理解できることが示唆された。
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