国内の揮発性有機塩素化合物(CVOCs)原液について、その炭素安定同位体比(δ
13C)を明らかにすることを目的に、5化合物12種類のCVOCs原液を入手し、試料準備法を確立したオンラインシステムにより、δ
13C測定に供した。本試料準備法では、沸点が70℃程度以上のCVOCs原液であれば、±0.10~0.26‰(n=2~5)の誤差で測定できることが明らかになった。この測定性能の下、国内のCVOCs原液について、有するδ
13Cに差異が認められた。また、海外のCVOCs原液と比較して、国内のそれが有するδ
13Cは、顕著に狭い範囲であることが分かった。これより、海外において化合物レベル安定同位体比測定(CSIA)を適用した場合と単純に比較したとき、国内においての方が自然減衰プロセスの評価に有効であると考えられる。さらに、国内のCVOCs原液についてのみ比較した場合には、PCEよりもTCEおよび1,1,1-TCAの方が、その評価により適している。このように、国内におけるCVOCs原液のδ
13Cを明らかにすることで、より詳細にCVOCsによる土壌・地下水汚染を理解できることが示唆された。
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