水循環基本法3条2項で定める水の高い公共性は,限りある水資源をいかに管理し配分するかとの問題意識を踏まえて導出されている。地方公共団体が地下水を管理しえない段階では,土地所有権の効力がそれに及ぶと解したうえで,同法3条3項を民法207条にいう「法令の制限」と捉え,健全な水循環が維持できないような地下水の利用は認められないとの準則を見出せる。ローカルな水資源である地下水は,その法的性質を一律に既定のものとして扱うのではなく,地域に適した管理システムの構築過程において当該地域の問題として検討されるべきである。かかる解釈が地域特性に応じた施策の策定・実施を求める基本法5条の趣旨にも合致するのである。