本研究では,新宿区おとめ山公園湧水での2009~2013年の5年間の観測に基づき,湧水量と地下水位のモデル化を行い,湧水量の経年変化に不透水性面積率・降水パターン・水道漏水が与える影響を評価した。細密数値情報(10mメッシュ土地利用)を用いた推定から,不透水性面積率は1980年代以降ほとんど変化せず湧水量の変化に影響していないことが分かった。2012~2013年のデータから同定されたモデルは過去の観測値をよく再現した。モデルを用いて1998年から湧水量を計算することで,1990年代以降湧水量は降水パターンの影響を受けて年々変化し,水道漏水によって経年的に減少していることを明らかにした。