水域間のつながりを表す水文学的連結性は河川生態系を理解する上で重要な要素であり,魚類の生活史や生息環境にも密接に関連している。河川と海との縦断方向や河道と氾濫原や陸域とを結ぶ横断方向の連結性については魚類に対する意義が広く認識されている一方,河床の地下部(河床間隙水域)を介した河川表流水域と地下水域との鉛直的なつながりの重要性は理解が遅れている。そこで本稿では,魚類の生活史において,この鉛直的なつながりや河床間隙水域がどのような役割を果たしているのかを概説すると共に,著者らが対象としてきた底生魚ヒナイシドジョウでの事例を紹介する。また,今後の展望についても言及した。