2018 年 60 巻 4 号 p. 511-516
本研究は,新潟県十日町市松之山光間地区において5カ所の地すべり対策用集水井を利用して温泉流出量評価を実施した。本地区の地すべり対策用集水井2本から採水された試料は,Na-Cl型で酸素,水素安定同位体比が高い値を示した。酸素,水素安定同位体比の結果から,その試料は,温泉水と天水起源の地下水との混合により形成されたと考えられた。そして,温泉水と天水起源の地下水との混合率をCl-濃度を用いた二成分混合モデルにより評価した結果,温泉水の混合率は約5~14%であった。さらに,その混合率に計測した集水井の排水量をかけると2本の集水井からの年間温泉流出量は,約4.5×105Lであると推定された。