愛媛県西条平野の地下水の持続的利用に資する目的で,15地点の井戸における過去36年間の地下水位データを解析した。平野の中心部を東西に横切る断層の北側帯水層では,地下水位が南側に比べて約3m低かった。それぞれの帯水層内の地下水位変化は同調していた。また,長期的な降水量や流域の水利用に対する応答も南北の帯水層で異なっていた。さらに南側帯水層の地下水位が潮位の影響を受けないのに対して,北側は潮位に同調していた。これらの結果から,西条平野の地下水は断層によって二つの水塊に大別され,断層が南から北に流動する地下水に対して難透水層的な役割を果たし,地下水を堰き止めていると考えられた。