地下水学会誌
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論文
湧水・地下水の水質調査手法の有効性に関する一考察
酒井 隆太郎
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 67 巻 2 号 p. 213-231

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抄録

 本研究では,全国の湧水・地下水に関する既存データを用いた地下水の水質形成過程を評価するための有効な調査・解析方法を検討した。湧水・地下水のHCO3-,SiO2,水温データを指標として,水質形成過程の特徴を調査するとともに地球化学計算コード(PHREEQC)による解析によって,実測データとの比較・検討を試みた。その結果,地質が花崗岩の場合,主に斜長石と炭酸塩鉱物の溶解が,火山岩類の場合は斜長石とシリカ鉱物の溶解が水質形成に関わっている可能性が示された。また,地質が堆積岩の地域では花崗岩と火山岩との中間的な地下水組成を示し,水源となる多様な地質の種類が水質形成に影響を及ぼしている可能性が示唆された。石灰岩,中・古生層,変成岩・蛇紋岩地域では,斜長石の溶解は少なく,炭酸塩鉱物やブルーサイト等の溶解が関係していることが示された。湧水・地下水のSiO2と水温との関係の検討からは,地下水流動過程において水温上昇を伴いつつ,斜長石等の溶解が進むケースとほとんど水温変化無しに溶解が進むケースとがある可能性が示された。

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© 公益社団法人 日本地下水学会
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