地下水学会誌
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地下石油備蓄基地建設に伴う水文・水理挙動の数値シミュレーション
山石 毅小林 仁谷 藤吉郎岡本 明夫登坂 博行小島 圭二
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1998 年 40 巻 2 号 p. 167-183

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抄録
2成分2相3次元地表流・地下水流結合陸水シミュレータを適用して.地下石油備蓄基地(久慈基地)周辺の地表水及び地下水の流動の数値シミュレーションを.水封式岩盤石油地下タンクの建設から操業(オイルイン)までの期間について実施した.
本地域においては.地質.水文及び水理に関する情報が.事前調査の段階から現在に至るまで.十分に集積されている.シミュレーションモデルには.本地域の複雑な地質・水文構造と.タンク・坑道を詳しく設定しており.これらの掘削工事及び他の各種工事(坑道閉塞・水没・抜水.ボーリング孔による水封水供給工事等)ならびにオイルインの状況を組み込んでシミュレーションを実施した.
基地周辺では.河川流量.観測孔水位.坑道湧水量.水封水供給量などの観測データが多数取得されている.シミュレーションの際には.上記量に対して計算結果を.経時的にマッチングさせることにより.モデルのパラメータ及び解析条件の最適化を図った.
シミュレーション結果は.観測データに対して満足すべきマッチングを示した.開発した水文・水理モデルは長期にわたる建設期間中の様々な観測記録を良く説明しており.将来にわたる観測量の変動を操業管理上十分な精度で予測できると考える.また.シミュレーション結果から地下の水理機構に関する有益な知見を得た.
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© 公益社団法人 日本地下水学会
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