地下水学会誌
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地下水へ注入された空気による水質回復の効果について
江種 伸之平田 健正福浦 清松下 孝
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1998 年 40 巻 4 号 p. 417-428

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抄録
テトラクロロエチレンなどの揮発性物質によって汚染された地下環境の修復技術として.その揮発性に注目したエアースパージング技術が適用されることが多くなってきている.エアースパージング技術は地下水中に空気を吹き込み.地下水の流れを攪拝することで溶解している物質を揮発させ.不飽和帯でガスとして除去する.すなわち.この方法を適用するためには.注入空気の動きや地下水中の物質濃度変化などを明らかにする必要がある.本稿では.実際に揮発性物質で地下水が汚染された現場にエアースパージング技術を適用し.空気の注入によって地下水水質が回復していく様子を検討した.その結果.空気注入を断続的に行う間欠運転によって.注入空気が実験対象となる地下水帯を十分拡がることが明らかになった.また.抽出ガス濃度などの観測データから注入空気に揮発したガス濃度を算定することで.地下水中に溶解している物質の揮発だけでなく.現地帯水層中に原液が存在している.その原液が注入空気へ揮発することで地下環境中から除去されつつある状況が推察された.
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© 公益社団法人 日本地下水学会
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