地下水学会誌
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ADR法による土壌水分量の測定とキャリブレーション
中島 誠井上 光弘澤田 和男クリス ニコル
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1998 年 40 巻 4 号 p. 509-519

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抄録

近年.土壌の誘電率から土壌水分量を求める方法が注目され.TDR(Time DomainReflectometry)法やFDR(Frequency Domain Reflectometry)法などが実用化されている.しかし.これらの方法は.コストおよび自動計測システムの複雑さなどの面で幾つかの問題点をもっている.それらの問題点を解決し.TDR法やFDR法に匹敵する性能をもつ方法として.簡単なインピーダンス測定から安価に土壌の誘電率を測定するADR(AmplitudeDomain Reflectometry)法が開発された.ADRセンサーによる測定では.測定された伝送線に生じる電圧定在波の振幅がADRセンサーから直流電圧として出力され.体積含水率θがその電圧から算定される.ADR法は.自動観測あるいは多点観測の容易さ.地下深部での使用の可能性において.非常に有効な土壌水分量の測定方法である.
本研究では.ADR法に基づく土壌水分センサーを用いた土壌水分量の測定について.室内実験や野外測定によるキャリブレーションを行い.その適用性について検討した.
本研究で得られたADRセンサーのキャリブレーションカーブは.体積含水率θと誘電率の平方根√εの関係が1次式で近似されることを利用したものであり.その傾きと切片を表す2つのパラメーターを求めることで簡単にキャリブレーション特性を得ることができた.本研究で得られた√ε-θ間のキャリブレーション特性は.Miller&Gaskin(1996)で無機質土壌について.あるいはWhiteet al,(1994)で得られたキャリブレーション特性にほぼ一致するものであった.

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