抄録
施設高齢者に多い排泄に関連した転倒および転倒者の特徴を明らかにすることを目的に,排泄に関連して発生した施設高齢者66名の99転倒場面の実態調査を行った.転倒者の特徴として,排尿障害ありの者は80.3%を占めており,過半数は複数の障害を有していた.障害のタイプでは、機能性尿失禁と切迫性尿失禁が多かった.排泄場所を昼夜で変更している者は40.9%であった.排泄に関連した転倒場面については,トイレに向かう途中の転倒が65.7%を占めていた.転倒場所はベッドサイド,転倒時間は18時から6時の時間帯に多かった.特に昼夜で排泄場所の異なる場合は90%以上の転倒が夜間に発生していた.また,排泄場所がベッド上の場合は機能性尿失禁を有する者が多かった.今回の結果から,排泄に関連した転倒予防ケアとして排泄障害のタイプと排泄場所について考慮することの有用性,特に18時から6時の時間帯への介入の必要性が示唆された.