老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
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11 巻, 1 号
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  • 水谷 信子
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 4-
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
  • 杉本 知子
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,Rodgersの手法を用いて高齢者の長期ケアにおけるinterdisciplinary teamの概念構造を明確化した.文献データベースの検索等から48文献を分析し概念の先行要件,属性,帰結,さらに関連概念の検討を行い,以下の結果を得た.(1)概念の先行要件には,患者/クライアントの「ニーズの複雑化・拡大化」とそれを取り扱う専門職の「専門性の細分化・明確化」があった.(2)チームメンバーの属性にはチームメンバーへの「信頼」「理解」等が含まれ,チームの属性には「協働連携」「開放的なコミュニケーションの実施」等が含まれた.(3)概念の帰結はチームメンバーの協働連携に基づく相互作用によって導かれるものであり,ケアの提供者と対象者双方に有益性をもたらすものであった.(4)Interdisciplinary teamは患者/クライアントをチームの中心に据え,メンバー間の協働連携やコミュニケーションを重視した概念である.
  • 谷口 好美
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,医療施設に勤務する看護師が,認知症高齢者の看護を行ううえで困難と意味づけている体験の共通概念を抽出し,構造化を行うためにグラウンデッド・セオリー・アプローチにより,質的記述的研究を行った.病院・介護老人保健施設・介護療養型医療施設の看護師27名に半構成的インタビューを実施した結果,中核カテゴリーとして【目が離せない人に対する許容】,主要なカテゴリーとして【目が離せない人との遭遇】【見守りの必要性】【看護業務の緊迫化】 【家族からの応じられない要望】を抽出した.構造として,【目が離せない人との遭遇】と【家族からの応じられない要望】を契機に,【見守りの必要性】と【看護業務の緊迫化】が生じ,患者を受け入れるためには看護師側の内面のプロセスとして【目が離せない人に対する許容】が必要であり,認知症高齢者の危険で予測がつきにくい状況を許容していくプロセスが認められた.また,【見守りの必要性】から,看護業務上の負担による倫理的課題が起こりやすい状況であることも示唆された.
  • 原 祥子, 小野 光美, 沼本 教子, 井下 訓見, 河本 久美子
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,介護老人保健施設における高齢者のライフストーリーをケアスタッフが聴き取ることを通して,ケアスタッフの高齢者およびケアに対する認識がどのように変化するのかを明らかにすることである.対象は,受け持ち高齢者とライフストーリー面談を実施したケアスタッフ8名で,非指示的インタビューによってデータ収集し,ケアスタッフの変化をあらわしている特徴的な発言内容をカテゴリー化し,カテゴリー間の関係性を検討した.ケアスタッフの変化は6つのカテゴリーに分類され, 《その人がよくわかる》ことによって,《その人への関心が高まる》という変化が生じていた.ライフストーリーを聴くという関係性が成立した体験はケアスタッフの《自信が深まる》という変化をもたらし,ケアが《丁寧な関わりになる》と認識され,《他の高齢者に対する認識が変わる》ことにもつながっていた.ライフストーリー面談を通して《関わることの楽しさ・喜びを実感する》ことは,これらの変化を生み出す基盤になっていると考えられた.
  • 和田 由樹
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 30-38
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,虚血性心疾患に罹患した独居あるいは夫婦のみ世帯の高齢者が,疾患に対する自己管理をどのような方法で行っているのか,そして行っている自己管理は,高齢者にとってどのような意味があるのか明らかにすることを目的とした.研究協力者は,65歳以上の高齢者16名(男性12名,女性4名)であった.データ収集は,研究協力者の自宅あるいは自宅周辺に訪問し半構成的面接法にて行い,得られたデータは逐語録とフィールドノートに記載した.行っている自己管理の実際は自己管理行動ごとに記述し,行っている自己管理の意味は研究目的に沿って分析,カテゴリーとして分類した.その結果,すべての協力者は必要な自己管理を良好に行っていた.高齢者は,退職などによって自己管理行動を構築しやすい環境にあるため,自己管理の実行は行いやすいと考えられたそして行っている自己管理は,《虚血性心疾患の再発防止に対する自己管理》《生活になじんでいる自己管理》《自分らしい生活を続けるための自己管理》を意味していた・高齢者は,虚血性心疾患に罹患することで「死」を意識し,生命の限界や老いていく自分を目の当たりにする.そのことで今まで以上に自分らしい生活を維持する必要性を認識し,自己管理を行っていると考えられた.虚血性心疾患に罹患した高齢者への自己管理の援助は,高齢者が疾患に罹患したことをどのように感じ,罹患後の生活をどのように送りたいと考えているのか,高齢者個々の今後の生き方に添った援助を行う必要性があると考える.また,高齢者の加齢による身体機能の変化を適確にとらえ,その人にあった自己管理の理解への援助と具体的な実践方法をともに見つけていく重要性が示唆された.
  • 正源寺 美穂, 泉 キヨ子, 平松 知子
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,要介護高齢者のおむつ交換に伴うケアスタッフの腰部負担を解明するため,研究1として,臨床で多く用いられる2つの作業姿勢で異なる体型の要介護者モデルをおむつ交換するときの腰部前傾角度変化,研究2として,連続的におむつ交換するときの腰部前傾角度変化を明らかにすることを目的とした.被験者は,研究協力の得られたケアスタッフ6名(2名重複)である.測定項目は,腰部前傾角度,所要時間,主観的評価とし,角度センサーダイアングル®(DAS-20,光ベルコム)とデジタル角度表示装置ダイアングレット®(DAA-1,光ベルコム)を用いた.その結果,おむつ交換全体の腰部前傾角度は約70度,所要時間は約3分であった.腰部前傾角度変化として,要介護者モデルの体格や作業姿勢により約10度ずつ,連続回数により約5度ずつ平均角度が減少するパターンがみられた.今後は,おむつ交換時の手にかかる力や対象との距離,片膝をベッドに乗せることによる負担の分散などを指標に加え,検証を深める必要性が示唆された.
  • 平松 知子, 泉 キヨ子, 正源寺 美穂
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    施設高齢者に多い排泄に関連した転倒および転倒者の特徴を明らかにすることを目的に,排泄に関連して発生した施設高齢者66名の99転倒場面の実態調査を行った.転倒者の特徴として,排尿障害ありの者は80.3%を占めており,過半数は複数の障害を有していた.障害のタイプでは、機能性尿失禁と切迫性尿失禁が多かった.排泄場所を昼夜で変更している者は40.9%であった.排泄に関連した転倒場面については,トイレに向かう途中の転倒が65.7%を占めていた.転倒場所はベッドサイド,転倒時間は18時から6時の時間帯に多かった.特に昼夜で排泄場所の異なる場合は90%以上の転倒が夜間に発生していた.また,排泄場所がベッド上の場合は機能性尿失禁を有する者が多かった.今回の結果から,排泄に関連した転倒予防ケアとして排泄障害のタイプと排泄場所について考慮することの有用性,特に18時から6時の時間帯への介入の必要性が示唆された.
  • 齋藤 美華, 森鍵 祐子, 川原 礼子
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    高齢者とその家族を対象とした外来看護師の役割について,教員が高齢者役を演じるロールプレイング演習を行うことでの学生の学びを明らかにすることを目的とした.看護系短期大学3年生73人の演習後のレポートを質的に分析した結果,(1)高齢者および家族に対応するうえで意識したこと・気をつけたことについては『患者を主体とした日常生活のアドバイスに配慮すること』『対象者の特性・能力に応じたコミュニケーションに配慮すること』『安全と安心を与える診療に配慮すること』『家族関係に配慮すること』『精神的安定に配慮した援助』『介護に対する負担と不安の軽減に配慮すること』『家族も看護の対象として捉える』が見出された.(2)演習を通しての学びとして『看護の特性と役割に関すること』『高齢者および家族の特徴と生活に合わせた対応の重要性』『介護者への理解と介護負担と不安の軽減に関すること』『ロールプレイング演習に関すること』が見出された.
  • 坪井 桂子, 小野 幸子, 岩崎 佳世, 古田 さゆり
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    特養における看護職の「日常的に実践している看護行為」と「大切に思う看護行為」に焦点を当て,看護活動の現状および課題を検討するために,A県の全特養(66施設)の看護職に面接および質問紙調査を実施した.182名の看護職の属性と「日常的に実践している看護行為」と「大切に思う看護行為」については,上位10位についての回答を分析した結果,以下のことが明らかになった.看護職の平均年齢は42.8歳,年齢別の構成は,30歳代以上が約9割を占め,病院勤務経験者も約8割を占めた.「日常的に実践している看護行為」は特養にほぼ唯一の医療職である看護職の役割や特徴を示すものであった.看護職が「大切に思う看護行為」は,「日常的に実践している看護行為」とは2行為を除き異なっており,看護職が大切に思いながらも現実的には実践が容易ではない状況が示唆された.また,「日常的に実践している看護行為」であり,かつ「大切に思う看護行為」は『感染症の予防・処置』,『病状観察・情報収集』であった.これらは,看護職の役割として日常実践している中でも,特養の看護職の看護活動の課題を考えるうえで,特に,重要な看護行為であると考えられた.
  • 流石 ゆり子, 牛田 貴子, 亀山 直子, 鶴田 ゆかり
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 70-78
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,高齢者の終末期のケア-の取り組みの現状と課題を明らかにするため,Y県下の介護保険施設90か所に勤務する看護職者全数717名を対象にアンケート調査を行い,395名(老健149名,特養91名,療養型155名,有効回答率55.1%)の回答を得た.主な結果は以下のとおりである.看取りの体験事例数,および受け入れ可能な治療・処置は,療養型が最も多かった.また,看護職は,「傾眠状態が続く」「嚥下・経口摂取困難」および「不安定なバイタルサイン」などにより"終末期が近い"ことを察しており,特に医療職の設置比率の低い特養の看護職の実感している程度が高かった.さらに特養の看護職は,「他職種との連携調整」を強く意識していた.終末期ケアにおいては,「苦痛の緩和」が最も意識されており,今後強化し取り組みたい項目として「死別後の家族ケア」「家族の負担軽減」があげられた.これらは,ともに療養型が最も強く意識していた.看護職は,医療機関でのキャリアを有し高齢者ケアに熱意をもっていた.一方,現施設での経験年数は浅く,准看護師が半数以上を占め,看護職の絶対数が少ないことなどは終末期のケア取り組みに少なからず影響を及ぼしていると考えられる.
  • 秋月 仁美, 坂本 奈穂, 西 あずさ, 榊 友希, 出戸 亜沙子, 永田 真由美, 吉田 有希, 笹川 寿之, 平松 知子, 正源寺 美穂
    原稿種別: 本文
    2006 年 11 巻 1 号 p. 79-85
    発行日: 2006/11/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究では健康度自己評価に関連する因子を明らかにするため,A県に居住する健康な高齢者897名を対象に質問紙調査を行った(男性214名,女性683名,有効回答率83.7%).多重ロジスティック回帰分析の結果,健康度自己評価と病気・障害の有無のそれぞれに関連する因子として以下の結果を得た.1.健康度自己評価が高いことに関連する因子として,病気や障害がない,日常動作に困難を感じない,痛みによる生活への影響がない,自分は若いと感じている,生活に満足している,付き合いがある,趣味がある,熟眠感がある,毎日運動を行っていることがあげられた.2.病気や障害がないことに関連する因子として,70〜74歳あるいは85歳以上,女性,服薬をしていない,日常動作に困難を感じない,心配や不安がない,食欲があることがあげられた.これらの結果から地域の健康な高齢者の健康を維持するためには,身体的健康だけではなく,心理的,社会的,そして日常生活に伴って感じられる自分自身に対する満足感や,自分自身の意志によって行われる保健行動も重要である可能性が示唆された.
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