本研究は,要介護高齢者のおむつ交換に伴うケアスタッフの腰部負担を解明するため,研究1として,臨床で多く用いられる2つの作業姿勢で異なる体型の要介護者モデルをおむつ交換するときの腰部前傾角度変化,研究2として,連続的におむつ交換するときの腰部前傾角度変化を明らかにすることを目的とした.被験者は,研究協力の得られたケアスタッフ6名(2名重複)である.測定項目は,腰部前傾角度,所要時間,主観的評価とし,角度センサーダイアングル
®(DAS-20,光ベルコム)とデジタル角度表示装置ダイアングレット
®(DAA-1,光ベルコム)を用いた.その結果,おむつ交換全体の腰部前傾角度は約70度,所要時間は約3分であった.腰部前傾角度変化として,要介護者モデルの体格や作業姿勢により約10度ずつ,連続回数により約5度ずつ平均角度が減少するパターンがみられた.今後は,おむつ交換時の手にかかる力や対象との距離,片膝をベッドに乗せることによる負担の分散などを指標に加え,検証を深める必要性が示唆された.
抄録全体を表示