抄録
本研究の目的は,熟練看護師が床上でのおむつ交換の場面で行っている関わりを明らかにすることである.6名の熟練看護師のおむつ交換場面の参加観察とそのときの恩いや目的,意図についての面接調査を行い,質的帰納的に分析した.その結果【患者との人間的な関係を保持しようとする関わり】【患者の安全を守ろうとする関わり】【おむつ交換時に患者に不快な感情をもたせないようにする関わり】【患者の不安を解消しようとする関わり】【おむつ交換後に快適に過ごせるようにする関わり】【おむつ交換場面で快適さを提供しようとする関わり】【患者の反応や動きを引き出そうとする関わり】【おむつ交換場面での接触の意味を広げようとする関わり】【患者の状態をアセスメントしようとする関わり】【看護師が自分のケアを評価しようとする関わり】【患者に注目して落ち着いて援助を行える雰囲気をつくろうとする関わり】【患者・援助者双方にとっての安楽を目指そうとする関わり】【患者に必要なケアを継続させようとする関わり】の13の関わりが明らかになった.熟練看護師の関わりはおむつ交換場面でのあらゆる面に焦点を当て,高齢者が抱えるリスクを予防し対処しかつ管理的視点をもった関わりであり,日常生活援助場面で発揮される看護援助の専門性の一端が示唆された.