老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
Print ISSN : 1346-9665
看護援助を通して見出される高齢者の健康の特質と要素 : 慢性病の増悪により入院している高齢患者を対象に(実践報告)
谷本 真理子黒田 久美子田所 良之北島 美奈高橋 良幸島田 広美正木 治恵
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キーワード: 高齢者, 健康, 看護援助, 慢性病
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2007 年 12 巻 1 号 p. 109-116

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抄録
高齢者の健康の特質を看護実践事例に適用し,高齢者の健康の特質と要素を,慢性病の増悪で入院中の高齢患者2事例への看護実践事例から分析した.その結果,2事例とも看護援助の過程前半では安定性としての健康,後半では実現性または全体性としての健康が特徴づけられた.安定性としての健康の要素には,《身体機能の回復と安定》《身体状態の維持・回復のための自己調整》《主体的な日常生活の維持》《社会とのつながりの維持》《安寧をもたらす夫婦関係》《自己の状況を見極める》《自尊感情の回復》,実現性としての健康の要素には,《創造的に生活する》《努力の実りの実感》《目標の明確化》《他者(看護者)に対する自己解放》《喜びの表出》,全体性としての健康の要素には,《感情の表出》《他者(看護者)との対話関係》《療養生活と生きる意味の一致》《安寧な気持ち》が抽出された.高齢者の健康の特質と,特質ごとに見出された要素の特徴を看護者が意識的に活用することにより,高齢者にとってのよりよい健康を支援することにつながることが示唆された.
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