本研究の目的は,高齢者訪問看護質指標(認知症ケア)開発の一環として,質指標を用いた看護記録からの訪問看護実践の評価を試み,合わせてこのような看護記録を用いた評価の妥当性を検討することである.2ステーションの看護師10名と65歳以上の認知症のある利用者23名分の看護記録を対象とした.質指標の記載率は指標により開きがみられ,記載率の高い指標は「周囲からの情報収集」「保険・サービスなどのアセスメント」等,低い指標は「手段的日常生活動作(IADL)のアセスメント」「表情から読み取る」「早期受診への支援」等だった.自己評価と看護記録評価の比較では「周囲からの情報収集」「心身の異常の早期発見」等多くの指標で対応がみられ,一定の併存的妥当性が認められたが,「混乱期の家族支援」は,看護記録には頻繁にみられた一方自己評価は低かった.本調査は方法論上の課題が残るが看護記録による客観的な評価方法を試みた意義がある.